内容説明
大震災でも奪えなかったもの
人間には非常事態だからこそ、守るべき愉しみがある。3・11直後の日本で、小林信彦は何を想い、何を憂い、何を見ていたのか――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
91
週刊文春に連載されたコラム集。2011年、東北の大地震があった頃のことが映画や演劇、テレビ、自身の事とともに書かれている。氏は当時の管政権についてかなり激しく書いている。よほど気に入らなかったのだろう。氏が今の安倍政権いついてどのような意見を持っているのか知りたい。それにしてもこの連載は長く続いているなあ。週刊文春も週刊新潮も全然読まなくなった。世の中には読んで腹が立ったり不快に思うことが多くありすぎ。嫌なことはできるだけ読まないことにしているのだ。2020/07/17
海猫
60
久々に小林信彦の本を読んだ。東日本大震災について書いているあたりはリアルタイムの生々しさがある。しかし政治や社会批評の部分があんまり響かない。結局なんでもかんでも憂いてるだけという気がしてくる。2015/01/10
えか
27
小林信彦の2011年分の週刊文春に載ったコラムをまとめた本。と、いうことは、当然三月十一日にアレが起こったわけで、その顛末も書いてある。進まない、東電の原発処理。右往左往の菅内閣。自己弁護に努める御用学者。戦時中以来の子供達の集団疎開。当時も腹立たしかったが、今読んでも、やっぱり腹立たしい。多分、三十年後に読む人も腹が立つに違いない。その合間を縫って、挿入される、紳助のヤクザ騒動、注目の映画女優。などの、芸能の話。昔の映画の話。ついつい、読んじゃうね。2023/09/15
marua
7
震災とそれにまつわる報道と当時の政府には、皆が消耗させられた。もちろん、氏も例外ではなかったのだと思う。トーンダウンしている感じは仕方がないのだと思う。それでも、戦時中の大本営発表と重ね合わせることだけは続けてほしい。もう既に70年以上前のこと、当時見聞きしてきた人だけができることだと思うので。2015/02/08
あきかん
5
久しぶりに小林信彦のコラム集。映画や芸事に関する話は相変わらず読ませる。作品を語る時に、その当時の“空気”をふまえた話がおもしろい。それはこのコラムが書かれた2011年のことをありありと思い出させることでもあった。良くも悪くも東京居住者の視線。同時に、氏も年をとっているのだなと切ない気持ちにさせられた。驚いたのは、当時の首相である菅直人への批判というか嫌悪感がこれでもかという表現で随所に出てくること。初出の発表媒体は大喜びだったろう。ここまで毛嫌いする理由を知るために2010年に遡ろう。2015/03/03