創元SF文庫<br> 完璧な夏の日 下

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創元SF文庫
完璧な夏の日 下

  • ISBN:9784488752026

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内容説明

ベトナム、アフガニスタン、9・11。ひとつの戦争の終わりは、別の戦争のはじまりに過ぎない。現代という“暴虐の世紀”にあって、老いることのない異能力者たちは、無数の戦場で果てしなき闘いを重ねる。そんな血と憎悪にまみれた世界にも確かに存在した愛と、青年たちの友情と絆。そしてフォッグはついに、彼が呼び出された理由である、終戦直後のベルリンでの事件に隠された真実を語りはじめる。〈夏の日〉と呼ばれたあの少女は、異能力者たちすべての運命の鍵を握っていたのだ……。世界幻想文学大賞作家が放つ、最先端の“戦争×SF”!ガーディアン紙2013年ベストSF選出作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

139
後半は、前半と同様に過去を行ったりきたりするのですが、どちらかというと最初よりも青春小説的な色合いをおびてくるような気がしました。最後はもう少し期待したのですが。上巻を読んだあとに映画化してくれないかと思い、自分で架空の配役を考えてみました。フォッグとオブリヴィオンをアンドリュー・ガーフィールドとベネヂクト・カンバーバッチ、クララをグレース・モレッツ、オールドマンをアル・パチーノとイメージして最後のほうは読んでいました。このような感じで読むと没入できますよ。2016/01/27

星落秋風五丈原

78
OblibionのFogへの切ない思い、Fogの完璧な夏の日への想いが交錯。『巨大な力には、巨大な責任がつきものなんです。』とはスパイダーマンの主人公の台詞と似ている。夏の恋だからこそ一瞬で完璧で恋がれて止まないものなんでしょうね。ただクララにはそんなに強烈な印象をもたなかったのでどうして主人公がそこまで惹かれるんだろうと。一度くらいこたえてあげればいいのに!こたえてもらえないOblibionが他の相手でうさを晴らす(欲望を満たす)シーンが切なすぎる。2016/09/02

HANA

55
ベトナム、アフガン、9・11。大戦が終わっても戦争は終わらない。下巻で中心となっているのは大戦後の世界、ただ登場人物の行動は大戦の影響下にあり、全ては残響の様。フォッグとオヴリヴィオンの行動が中心となっていた上巻に対して、本巻は群像劇の様相を呈していて書き込み不足の様に感じて読んでいて消化不良。ゲシュタポの人、上巻だとあんなに活躍したのに……。ただ超人の悲哀と暴虐の二十世紀の歴史を重ね合わせるという読み方だとしっくり来るのかな。しかし洋の東西を問わず、夏の日っていうのは失った遠い日を思い浮かべるのかな。2015/04/12

絹恵

48
誰もがヒーローを必要としていて、誰もヒーローに成りきることが出来なかったのは、本物の敵などいないからです。国の為、人の為、自分の為、大切な人の為に、自身を押し殺すよりも、どうにもならないことに、"行くな"と最後まで足掻くことに、本物と名付けるのかもしれません。愛したいけれど愛せなかったり、愛してはならない人を愛してしまうけれど、だからこそ人間は不完全な愛の物語を紡いでいく、これからも。2015/06/06

harass

46
戦後冷戦、ラオス、アフガニスタンまででてくるとは思わなかった。こういう終わり方は久しぶりに読んだ・観た気がする。構成で読ませるタイプの本。正直ちょっとノレなかったのだが、まあこういうのもあるのだとちょっと感心しながら読んだ。テーマ的に原題のほうがいいのかとも。この題名だと中途半端のように感じるが、こっちのほうが売れるかと。2023/06/30

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