内容説明
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二度にわたるモンゴル軍の襲来は、鎌倉幕府にとっても、御家人・民衆にとってもこれまでにない試練だった。幕府内部の権力争いは激化し、天皇とその周辺も幕府打倒へと動いた。農村・漁村・都市の分化など、社会も大きく動いていた。古代から中世にかけて、「遍歴する非農業民」の存在を重視する著者が、新しい視点で切り込んだ新たな中世像。
感想・レビュー
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翔亀
36
この満腹感は何なのか。網野史観で有名な著者の初期の著書。よくある日本史全集(小学館版)の鎌倉時代を担当した1冊として(恐らく)ひっそりと世に出た。そう通史だ。なのにこのテンション。鎌倉時代を「日本人の野性が社会に横溢している最後の時代」と捉える大胆な史観と、裁判記録や紙背文書(廃棄された文書の裏に著名人が書いたため残されたもの)なども含めた史料による具体的細部の両面から、武士(北条氏)/天皇の政治抗争、寺社/仏教の宗派対立、農民/社会の人々の生活が活写される。↓2014/06/30
叛逆のくりぃむ
18
蒙古襲來を軸に當時の社會情勢などを廣汎に考察してゐる。元冦を切掛として北條得宗家の獨裁體制が一定の完成を見た點は興味深い。2015/11/14
hoiminsakura
7
大変勉強になった。題名は蒙古襲来であるが、全集・日本の歴史の一部であり、時代的には北条氏による執権政治に始まり、鎌倉幕府が滅びるまでである。作者はそれを、幕府が滅びたのではなく、専制の限りを尽くした北条氏の滅亡と説く。蒙古襲来絵巻を描かせた竹崎季長の逸話では、武士というものの行動原理がよく理解できた。悪党の何たるかも詳しく説明されており、他にも民俗学的な切り込みもされていて、この時代の全体像が何となくつかめた気がする。2020/08/02
i-miya
7
★網野善彦『蒙古襲来』 蒙古襲来―転換する社会 (小学館文庫) 2005.01.06 P33 道祖神(さえのかみ) 直会(なおらい)-酒をなめ米粒をかむ P41 1252 建長4 0319 宗尊親王将軍誕生 1253 建長5 11月建長寺建立 蘭渓道隆 宋の禅僧呼ぶ P56 篝屋の廃止 P58 税所(さいしょ) P61 院の評定の新設(本所同志の争い調停)引付(御家人、訴訟専門裁判) 後嵯峨院政 上級貴族 中級廷臣 P64 西園寺家 興隆 徳大寺家 徒然草 2005/01/22
midorikawa-e
6
タイトルは「蒙古襲来」でして、たしかにそこが、この通史のポイントになってます。しかし、それに至る過程、中世日本社会全般に目配りの利いた活写が素晴らしいと思いました。歴史は、いつだって躍動感を持って動いている。そう思わせる名著ではないでしょうか。2015/06/03