内容説明
北は択捉島から南は沖ノ鳥島まで、東は南鳥島から西は与那国まで、世界で六番目に広い「海」を持つ日本。その国境はすべて海の上にある。紛争の最前線たる北方領土、対馬、竹島、尖閣諸島をはじめ、九十九に上る国境離島のことごとくに足を運び、自らの目で確かめた著者が、そこで暮す“人”を通じて問い直す「この国のかたち」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
色々甚平
6
国境に暮らしている人々のルポ。日本の国境での他国からの圧力の問題は取り上げられている。また、日本中の都心部以外の衰退が大きくなり、国境沿いの小さな島などでは、より過疎や産業衰退が致命的なほどの状況になっている。本書では明るい展望を述べている人は皆無であったと言ってもいい。地域おこし協力隊も行ってはみるが生活困難・条件悪のため残る人が少ない事例も取り上げられている。手遅れになる前になんとかなってほしいが…。2018/04/15
ココアにんにく
3
「お巡りさん2人 拳銃2丁 銃弾10発」 日本最西端の与那国島での守りがこれだけ…。調べると本書出版後に与那国島への陸自配備されたようです。テレビで何度か話を聞いて山田先生の著書を読んでみたいと思っていました。外国の人と話すと自身の領土に対する意識の薄さが分かります。竹島を占領された時の銃撃。200隻拿捕、3929人抑留、5人殺害、39人負傷。全く知りませんでした。あの狭い津軽海峡に公海が存在するなんて!島嶼部だけでなく日本海側でも拉致事件が起きている。南大東島の「無人島にさせないため」の話が心に残った2018/02/22
HMax
3
国境の離島では「地方消滅」が始まり、知らない間に外国人に占拠されていたなんてことが現実となっているんですね。 安全保障上重要な場所が簡単に購入出来るという事実にも驚きです。視点は変わりますが、下賀茂神社が式年遷宮の予算不足に対応するためマンションを建てるというのも、もし土地を売りに出したら、センスのない人がイタリア文化会館のような奇抜な建物を建てたりするかもしれないのでやむを得なかったのではないでしょうか。最善の方法は世界に寄付を呼びかけることでしょうが、そんなに寄付金は集まらないものなのでしょうか。2015/06/05
Lila Eule
3
日本の経済水域や領海の起点となる離島が99あって、そこには海上保安官は一人もおらず、多くが廃れ始めていて外国からの収奪にさらされているのが現実らしい。島を守るとは島民の生活を維持することで、島民の生活事実が安全保障の基礎との主張。なぜ、過疎化、廃村化してきたのか。ご都合主義の行政、お人良しな国策、生活優先にならざるをえない庶民、軍事への嫌悪などのようです。周辺国は勢力拡大に邁進していて、もう、待ったなしと。こうなるまで宝をいかせていない現実話に気が滅入るようでした。2015/05/16
門の翼さん
0
日本は平和な国だと思っていたけど、甘い認識だったなと。日本で国境を意識する機会は多くないけれど、そうこうしているうちにいつの間にか日本だった所が日本ではなくなってしまうかもしれないと思いました。2015/08/01