内容説明
一度死んで蘇生した“半死人”冬哉と、死者の霊を彼岸へ送る“渡し”の那由子は、奇妙な協力関係を築いていた。だが、日ごとに死者に近づく冬哉は焦っていた。自らの存在は消えても、那由子だけは「人」としてこの世で生きてほしい――。そんな想いを胸に自らの死の真相を追っていた冬哉に、次々と衝撃の事実が突きつけられる。さらに、彼此見市を謎の光が襲い人々が昏倒するという現象が発生、冬哉と那由子は調査に乗り出すが……?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュエパイ
6
事件は終わる、非日常は日常に帰る。灰は灰に、塵は塵に。そうして、間違った命を与えられた彼は、彼のいるべき場所に。・・・彼が、たった一人になってしまうのが、とても悲しかったのです。たとえ、間違った命だとしても、人は一人のまま取り残されることに、耐えられないのです。でも、それでも、いつか命は巡ってくるのだと、ちゃんと待ち焦がれていた瞬間が訪れる、物語になりました♪よどみに浮かぶ泡沫であっても、すぐに消えいく泡沫であっても、そこには心がある、と。佐々原さんの、別の作品での言葉を思い出しました。2011/07/05
ころん
5
もっと続くのかと思っていたら、案外あっさりと完結。次から次へと真相が明かされて、めちゃめちゃ濃い1冊でした。なにがともあれ、きれいに完結してよかったよかった。ちょっと寂しさを感じるようなラストが、この作品には合うと思います。2011/07/07
無銘
3
半死人の少年と死神少女の物語、完結。哀愁漂う綺麗な終わり。怒濤の展開で明かされた真実が重いよ!特に冬哉の死の真相には割と驚いた。おちゃらけてるがいざという時には真面目に決める奴だとは思っていたが、真面目に決意した結果があんな風に(文字通り)人生投げ出すとは。ラストの決断といい、予想以上に自己犠牲精神強い主人公だった。事件終結直後の現世の様子を想像すると超バッドエンドにしか見えないが、長い時の流れの果てに再び出会う二人を見ると、ああよかったねと思えるラストでした。2011/12/03
タカユキ
3
佐々原さんだったから読んだけど、やっぱりこの手の話はハッピーエンド万歳!という訳にはいかないので好きになれないなぁ。次回作は是非とも、読んで元気が湧いてくるような、熱い青春モノを期待しています。2011/07/03
不以
2
縁がざっと揃う様が良い。まさかの因縁深さに驚いた。そして、あの無機質な那由子さんが、"わたしにはあなただけ"と数十万の命を主人公のために捧げようとしたシーンが良い。続く、主人公の独白と拒絶と否定も含めて。明るい善人をどんなときも貫いて、正しく生きて正しく死のうって主人公は、変だけど綺麗だった。ふと気づいたら結構な恋物語で良かったなあ。2016/02/28