内容説明
秦の不敗の将軍、章邯に包囲された絶体絶命の魏王を救うべく、田たん率いる斉軍は、臨済へと向かった。秦軍は二十万、迎え撃つ魏斉連合軍は十万。田たんは、章邯の自在な用兵、精緻な機略の前に苦戦を強いられる。田横は義を以て楚に援兵を乞い、楚の勇将項梁は、項羽・劉邦・黥布らを率いて、章邯の大軍と激突する。楚漢戦争前夜、帝国秦の終焉を圧倒的迫力で描く、驚天動地の第三巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
55
いよいよ戦闘場面が多くなり、田横の様々な活躍により秦の圧倒的な優位からの逆転を演出します。名前が知っている人物が結構出てきて項羽などの活躍なども書かれています。人物関係が宮城谷さん独特の分かりやすい筆致で書かれているので読みやすいです。2015/05/03
著者の生き様を学ぶ庵さん
34
章邯に包囲されし魏王を救ふべく、田儋が斉軍は臨済・鉅鹿城へと向かひけり。秦は二十万、魏斉軍は十万。章邯は用兵自在にして、斉の苦戦は明々白々。故に田横は楚に援兵を乞い、楚の項羽が三万の軍に秦軍への甬道遮断の知略あり、大軍有する章邯が項羽と和睦せしは理あり。かたや、秦は趙高による胡亥暗殺、秦王嬰の趙高制裁、項羽の秦王嬰殺戮・放蕩と続き、冷静たる彭越の言は言ひ得て妙なり。曰く、正義はいづくにかこれあらむ。思ひ上がりつる項羽は斉に転封を命じ、これを拒む田栄・田横に田都・田安軍が迫りけり。読み手に息つく暇すらなし。2016/01/31
はま
22
再読。ついに趙高が討たれ、そして秦が滅ぶ。ようやく時代が大きく動き出しました。清廉だが頭でっかちの田栄、兄の清廉さを認め口を出さない田横。この段階でも田横どころか田栄も王になってない。再読なんだけど、この後どうなるんだったかな〜^^;2013/07/14
サチオ
15
項羽の圧倒的な力が、内部抗争にまみれた秦を覆った。権力に群がる欲深い者達が相次ぐ中、凛として立つ斉国。仁義が欠落した時代だからこそ、後世に讃えられる生き方を貫く田氏の振る舞いが格好いい。2015/06/04
takehiro
12
章邯の事は知りませんでしたが、秦にはまだまだすごい将軍がいたんですね。皇帝を操ってやりたい放題の趙高は、善悪を別にすれば実はすごい能力の持ち主な気がする。2022/04/05