内容説明
女性が人間らしく生きるとは?ガラシャ夫人を通して語りかける著者初の歴史小説。
明智光秀の娘・玉子は、織田信長の命により、16歳で細川忠興に嫁いだ。戦乱の世の常の政略結婚で、多くの女性がそれを運命として疑うことをしなかった中、玉子は、女たちが道具のように扱われることに、耐えられぬ思いを抱いていた。人間としての自我にめざめていた玉子(後のガラシャ夫人)を通して、女性が人間らしく生きることの意味を問う著者初の歴史小説。
「三浦綾子電子全集」付録として、『信徒の友』に掲載された著者談話「細川ガラシャ夫人を書き終えて」、西教寺住職の説明を受ける著者写真を収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
331
信長、光秀、右近が、とても丁寧に紡がれている。彼らの言動の背景が伝わってくる。光秀の娘玉子、後の細川ガラシャの生涯を三浦先生が丁寧に紡ぐ。玉子の生来の好奇心や探究心、信心の礎となる体験を丁寧に紡ぐ。玉子の美しさと真の強さ、当時の女性が扱われる理不尽への不信が後のガラシャの凄絶な最期に繋がることを知る私!それらの描写に著者の愛を禁じ得ない!賢く誇り高き玉子の純、清廉すぎる光秀の義と誠、時に人を狂わす『無欲の理』光秀の心理描写が没信長を匂わす。戦国を感じさせない戦国の『女のさだめ』下巻への期待に震える‼️🙇2020/06/08
遥かなる想い
162
三浦綾子が描く「細川ガラシャ」を読みたくて購入。戦乱の世・・政略結婚の道具でしかなかった女性がそれでも運命を受け入れながら、生き抜く姿を丁寧に描いている。明智光秀の娘として有名な細川ガラシャがキリスト教を 心の糧に必死で生きる姿がなぜか哀しい。
ちょろこ
139
読みやすい歴史小説、の一冊。もう少し早く手に取れば良かったと思うぐらいスラスラ読みやすい。柔らかさ感じる文章が戦国時代の世界へとゆっくりいざなってくれる。まずは明智光秀と妻、凞子の婚姻エピソード、言葉にいきなりキュンと心つかまれる。これこそ真の愛だわ。幼き玉子のストレートな感情、それに真摯に応える光秀の姿、情愛に溢れる姿も意外な一面で素敵だ。そんな穏やかさとはうらはら、城外は乱世の世。美しく成長した玉子は細川家へと嫁ぐ。次第に高まり漂う不穏な空気、光秀の信長への胸中も見せられながら下巻へ。2020/06/16
takaC
93
玉子の母の凞子の輿入れ前から始まったので長丁場かと思いきや100ページ過ぎで既に玉子の輿入れは完了。残り1冊半で何を語るのかと心配したが本能寺の変に至る前に上巻終了。これからが山場。2014/10/25
aoringo
84
大河ドラマの影響で予習。あとガラシャの人物像も知りたくて手に取りました。どうしても読んでいて光秀寄りになってしまうけど、妻の煕子とのエピソードは本当に素晴らしい。美しく聡明な光秀の娘、玉子は幼少期を経て細川家に嫁ぎ、三人の子持ちとなるところまでが描かれていた。光秀が癇癪持ちの信長に虐げられ、うっすらと不穏な空気が感じられるところで、下巻へと進む。忠興が玉子へ贈った手作りのカルタが良かった。いいところあるじゃない。2020/03/14