内容説明
親と子、教師と生徒の絆を深く描く問題作。
傷つき、心を閉ざした一郎だったが、唯一、雑貨店を営む久代とその幼い息子・和夫にだけは素直になれた。しかし、その久代もまた父・豪一の被害者であると知った一郎は、絶望する。そして、教師・杉浦悠二の当直の日、学校に放火することを決意した・・・!!
1968年(昭和43年)、1975年(昭和50年)に2度、テレビドラマ化された、昭和を代表する名作!
「三浦綾子電子全集」付録として、夫・三浦光世氏による「創作秘話」などを収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
も
50
予想外の展開にびっくり。こんなにも気持ちがすれちがってしまうのか。善意なんてものは送るほうと受けとるほうの気持ちが通じ通じあっていないと成り立たないもんですね。悲しい結末…。2017/01/02
有
44
一郎の良心を信じ、罪を責めずに庇い続けた悠二。どれだけ言葉を重ねても、自分の内側を素直に見ていない一郎には届かなかっただろう。言葉は万能ではない。では悠二のしたことは無駄だったかというと、そうでもない。みどりには届いていた。誰かの力になりたいと願うとき、間に合わせの言葉では人も自分も救えない。自分と向き合いひとつひとつを誠実に生きるその姿こそ、まわりまわって誰かを救う。感情だけが自分ではなく、理性も意志も含めて自分という人格を作っているのならば。私は親として大人として、どんな背中を見せられるのだろう。2021/05/11
メルト
20
詳しい内容は上巻の方に書いたので、その部分は省いて。主人公の、教師はどうあるべきかについての苦悩、妾だった奈美恵の凄惨な境遇、一郎のねじれた感情のすべてが胸に迫るもので、そして何よりも、悪役とされる人物それぞれにやむにやまれぬ事情があって(父親は別だが)、とても苦しい物語だった。そしてそれと同時に、結末まで一気に読ませる、最高の読書体験でもあった。さいごに見えた希望が、どうかいい方向に転がってほしい。2020/12/09
ねこまんま
20
この時代では妻妾同居ってそれなりにあったのか?山崎豊子の華麗なる一族もそうだったよな。まあ、こんな家で育ったら人格が歪むのは分かりそうなものなのに子供の育成より自分の欲望を優先する豪一の生い立ちが気なった。みどりが一番まとも。悠二は善意の偽善者なので大嫌いだが自分に重なって辛い。和夫だけは幸せになってほしいが自分の出生が分かったらどう思うんだろうか。それぞれの立場で考えたら、違う結論が出るのが恐ろしい作品だと思う。 2020/01/21
わむう
18
登場人物が善人と悪人にきっぱりわかれている。その中で自分の父親を憎む一郎は、親を困らせるために取り返しのつかないことをしてしまう。けど天使のような異母弟の和夫を見て償おうと心に決める。2016/09/13
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