内容説明
親と子、教師と生徒の絆を深く描く問題作。
旭川の私立中学校に赴任した教師の杉浦悠二は、生徒のひとり、佐々林一郎の暗い表情が気になっていた。じつは一郎は、実業家の父を持つ裕福な家の息子であったが、姉だと信じていた奈美恵が父・豪一の愛人だったことを知って以来、すさんでいたのだった。悠二は一郎の力になりたいと何かと尽力するが、一郎は全く心を開かない。それどころかますますすさんでいくのだった。
1968年(昭和43年)、1975年(昭和50年)に2度、テレビドラマ化された、昭和を代表する名作!
「三浦綾子電子全集」付録として、新聞連載にあたっての文章(単行本未収録コラム)を収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
有
51
人間でいちばん罪深いところは目。自分の中に鍵付きの個室を持つ。親が不潔だからといって自分も不潔になることはない。みどりの強かさに目を見張る。現代の鍵付きの個室はSNSだろう。でも誰かに何かを発信して共感を得るより、自分の中で自分を見つめ、考え抜く経験も必要だと姉弟を見て思う。悠二の誰も悪く言わないおりこうさと、自分の意見が生徒の一生を変えてしまうのではと口をつぐむ臆病さ。彼は優しい、誠実、そう見られながらも自分自身の狡さや醜さと必死に向き合っていた。破滅に向かいそうな一郎はどうなってしまうのか。下巻へ。2021/05/10
メルト
18
私立中学に赴任してきた青年教師が、ある悩みを抱えた生徒 と出会う物語。彼の父親は実業家だが、姉と思っていた人物は父親の妾だと知ってしまったのだ。多感な時期にねじれた感情は、どこへ行きつくのか。少なくとも上巻の時点では決して大事件のある展開ではないが、それにもかかわらず一気読みしてしまった。詳しい感想は下巻で。2020/12/08
たぬ
15
☆4.5 ああよかった…和夫が助かってよかった…。あんなかわいい子が死んじゃったら久代さんだけじゃなく杉浦先生も一郎もみんなみんな大ショックで精神崩壊してしまうよ。訳ありオーラはまとっていたけど和夫の出自に唖然。ほんっと佐々林家の父親ってば汚らわしい。下巻ではこのクソ父が痛い目に遭えばいいなあ。佐々林一家、教師、生徒、靴磨きのおじさん等々丁寧な描写で読み応えはかなりのものです。2024/08/21
わむう
13
読み始めは50年前の教師の感覚が現代のそれと違っているところに馴染めず遅々として進まなかったのですが中盤から登場人物たちの恋愛の交差が面白くなってきました。下巻へ突入です。2016/09/11
ろこぽん
12
この時代の教師て、賄賂ありセクハラあり、家庭訪問ではお酒飲むし、何でもありやな。 人の心の奥をうまく描写していて、ドキッとさせられる。三浦綾子の道徳的な教えというか、なんかうまく言えないけどすご い!さて下巻へ。早く読みたい~!2021/05/05
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