内容説明
「平民宰相」原敬の初の本格的評伝。新聞記者・外交官・企業経営者など多彩な顔を持ち、一貫して「公利」という概念を重視し、第一次世界大戦後の世界を見通して新たな日本政治の道筋をつけた、ポスト「元勲世代」のもっとも偉大な政治家の65年の生涯を描く。上巻では、原の誕生から、フランス語を学び、ジャーナリストとして見聞を広めたのちに外交官として活躍し、陸奥宗光の知己を得て政治の世界へと進むまでの前半生を描く。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
43
「伊藤博文」「昭和天皇伝」で高名な伊藤先生が、今まであまり詳しく書かれることのなかった原敬についての評伝を資料を駆使して書かれたものです。上下2巻で読みでがあります。上巻は、若いころからの生い立ちから始まり、陸奥宗光に見いだされて、その腹心となり、さらに選挙に打って出るというところまでです。久しぶりに面白い政治評伝です。高坂先生の「宰相吉田茂」も面白かったのですが、こちらのほうがさらに面白い気がしました。2015/03/03
MUNEKAZ
13
原敬の大ボリュームな評伝。幼少時からじっくり描かれるが、著者の相変わらずの叙述対象への偏愛が溢れる書きっぷりには少々ゲップが出る。外交への関心、イギリスに倣った政党政治の確立が早いうちから原の中に生まれた目標であり、内向きなマインドの政治家ではないことが著者の主張のポイントかな。伊藤、井上、陸奥の庇護を受け、潜在的には敵対する山県にも挨拶を欠かさない。コネと実力を駆使してのし上がっていく原の立身出世譚は、まだまだ官僚のキャリアパスが定まっていない明治の世相を体現しているようで面白い。2025/01/28
かんがく
11
著者の政治家評伝は、大隈、山県、伊藤に次いで4人目。上巻では、井上馨や陸奥宗光と関わる中で、法学生、農商務官僚、外交官、新聞社社長と多様な経験を積んでいく経緯が描かれる。政党政治家としての原が活躍する下巻に期待。2020/07/25
カラコムル711
2
上下の長い本だが、中身がやや散漫、はたして原の別荘のこと(そこにいつ逗留したかなど)など、いちいち書く必要があるのか。 著者の姿勢はだんだんと保守化しているようだ。原の姿勢のいいわけ的な叙述が多い。むろんことさら批判する必要もないが、著者の思想のあいまいさが原因か。史料主義と言っても、歴史は書くものの観点が決まってなければ退屈な事実の羅列になる。 2015/02/20
中将(予備役)
1
原敬のやや詳細な評伝。上巻は前半生を記述する。前田蓮山の原敬伝の限界を指摘しながら、若き日の言動をその後と対照して通じる理想を見出だす書き方だった。かなり褒めて感じる。2023/10/31




