内容説明
代々、使譯(通訳)を務める<あずみ>一族の子・針は、祖父から、那国が漢に使者を遣わして「金印」を授かったときの話を聞く。超大国・漢の物語に圧倒される一方、金印に「那」ではなく「奴」という字を当てられたことへの無念が胸を衝く。それから十数年後、今度は針が、伊都国の使譯として、漢の都へ出発する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
232
ひさびさに帚木さんの壮大な歴史小説。一応受験は日本史だった私ですが、この辺の歴史はさぱーり忘却の彼方。いわゆる遣唐使の時代なんでしょうか。当時の過酷な訪中、その中で繰り広げられる人間ドラマ、ユーモアを忘れない使者たち、こちらもドラマに呑み込まれました。さて日御子というのが、針の娘・江女につながっていくっていう流れの下巻を期待しつつ。2016/09/03
mocha
106
那国の通訳として漢へ渡った〈灰〉は、授かった金印に「那国」が「奴国」と貶められていることを深く悔やむ。50年後、孫の〈針〉が伊都国の通訳として漢へ。半年以上をかけた旅程を詳細に書いたロードノベルのようだ。予備知識なく読み始めたが、わが町の古代の様子がありありと描かれていて感激!下巻では物語が〈針〉の娘に引き継がれ、いよいよ「弥摩大国」へ。2016/03/23
のぶ
70
まだ上巻を読む限りだが、福岡出身の帚木さんらしい九州に根差した描写が興味深かった。上巻での主人公は、代々、使譯(通訳)を務める<あずみ>一族の子、針。現在の福岡に伊都国他、小国が乱立していた時代に那国が漢に、使者を遣わして「金印」を授かった時の話を聞く。それから時代を経て、針が、伊都国の使譯として、漢へ出発する。上巻の半分は針の漢での生活が描かれている。古代の日本の物語ながら、難しいところはなく、非常に読みやすい。終盤に耶摩大国も著され下巻への期待が広がる。感想は下巻で。2018/11/28
すしな
40
002-25.確かに、卑弥呼より、日御子や日巫女の方がしっくりしますね。本書の付録で描かれている地図では、諸説ある邪馬台国も弥摩大国になって久留米あたりにある設定なので、史実に基づいてというよりも半分ファンタジー的な要素もありそれはそれでよかったです。上巻ではまだ日御子は出てこないですが、博多のあたりある金印を授かった倭の奴国の那国から物語が始まって、漢語の通訳のあずみ一族を通じて九州北部に広がっていく感じが面白かったです。2025/01/09
sat
34
書名買い。代々、使譯(通訳)として受け継がれてきた、あずみの一族。約二千年も前に韓の国に渡っている事実に、胸がいっぱいになった。読み進めるほど、続きが気になっていく。日御子が登場しないまま、下巻へ。2017/04/11




