内容説明
若き女王ロクサーヌの治める平和なフロリア。王都の片隅の小さな菓子屋【パティスリー】には、今日も劇作家がやっかいごととともに駆け込んでくる。そんな平和な日々が、不意に揺らぎ始めた。フロリアの守護神、バルトレオン将軍の遠征失敗によって。フロリアは再び混沌に呑まれるのか――。その行く末は、国際会議の席でのロクサーヌの外交、そしてその席で供されるアルジャンの菓子の力に委ねられた!! 菓聖の伝説を綴るヒストリカル・ファンタジー、堂々終幕【フィナーレ】!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめありす@灯れ松明の火
105
私は断然オーギュスト派なの!惚れっぽくて慌てん坊だけど、男気があっていつもまっすぐで応援したくなるわ。勿論ヒロインのロクサーヌ女王も大好きよ。女王が『贅沢が好き』なんて言うと嫌われてしまうでしょ?でも、ロクサーヌは『みんなが贅沢ができる豊かな国を作りたい』って願うの。ロクサーヌの姿を見ると私も、私だけが贅沢をしていては駄目なのかしら……?って、思ってしまうの……ううん、何でもないわ心葉くん。短いシリーズだけど、読み終わればお腹いっぱい甘ーい気分に浸れちゃう。美味しい事ってつくづく正義ね。是非読んでみてね。2014/12/31
文庫フリーク@灯れ松明の火
103
焼きメレンゲで覆われた優美な王冠に、さくっ・・と軽い音を立ててケーキナイフが入る。現れたのは、上からヴァニラのアイスクリーム、赤紫のカシスのソルベ、薔薇のソルベ、アプリコットのソルベ、蜂蜜のアイス、最後にシャンパンを染み込ませた柔らかなグリーンのスポンジはピスタチオ風味。白い皿の上で薔薇のソースに彩られた逸品は、ひんやりとしたアイスとソルベが砕けたメレンゲに絡み、ほろほろさくさくと口の中で溶けて、すっと消えて行く・・。侵攻・征服で領土拡大する無敵のバルトレオン将軍、初の敗退はフロリア国に存亡の危機を→2014/11/04
た〜
88
上下となっているけれど女王と菓子職人をめぐる2つの物語(プラス短編数本)という構成。コミカルとシリアスのバランスが絶妙。最後にそういう形でまとめてきたか―、と、唸らされた。あとがきの、誕生秘話もなかなか面白かった。2014/10/31
コリ
82
オリジナル読み切りの下巻。今回もお菓子の様に甘くて切ない色々なエピソードが詰まっていて、どれも楽しく読むことが出来た。中でも見所はやはり国際会議かな。アルジャンが軍人としても菓子職人としても大活躍だった。クールに見えて内面は最高にホットなアルジャンが文句なしのイケメンだったよ(笑)明言はされていないけれどアルジャンとロクサーヌが結ばれたようで何よりだと思う。作中のお菓子の様に素晴らしく甘いラブストーリーだった。またこの様な形で短編をやってくれたら嬉しいなぁ。2014/11/24
よっち
73
下巻は遠方に嫁ぐ伯爵令嬢ジュゼットと菓子職人アルジャンのささやかな交流、バルトレオン将軍とオーギュストの短編。そして遠征していた将軍の敗戦からの国難に対して、アルジャンの菓子を切り札に外交で渡り合おうとするロクサーヌの奮闘が物語のハイライトでしたね。お互いを想う気持ち、揺るぎない信頼関係があっても、決して本音を伝えることができないロクサーヌとアルジャンの身分を超えた二人の絆がストーリーの大きな軸で、妨害に遭いながらも創り出す菓子の表現力で、見事ロクサーヌの期待に応えてみせたアルジャンの執念は見事でした。 2014/10/29