内容説明
フランス滞在中の黒猫は、ラテスト教授からの思想継承のため、イタリアへある塔の調査に向かう。建築家が亡くなり、設計図すらないなかでなぜか建築が続いているという〈遡行する塔〉。だが塔が建つ屋敷の主ヒヌマは、塔は神の領域にあるだけだと言う。一方、学会に出席するために渡英した付き人は、滞在先で突然奇妙な映画への出演を打診され……。離ればなれのまま、ふたりの新たな物語が始まる――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
poke
72
面白かった!美学講座に加え、恋愛のキュンとする切ない感じまで入って大満足でした。まだ読んでいないのがあるので読もう!楽しみ。2015/08/02
あつひめ
70
やっぱり、引かれあうものは、同じものを見ながら刺激を与え会うのが一番自然な気がする。あの…あの…あの、黒猫がさりげなく態度で示しているのだから。少しは人としての成長があったのだと思う。付き人が現れてからの場面の空気も一変したように思うし。約束がなければ走れない距離もある。約束のあるなしで進化の速度も変わる。うーん、わかるなぁ…。今度はいつ再開できるのだろう…。2015/03/06
藤月はな(灯れ松明の火)
65
森晶麿氏のとある作品を読んで無性に彼らに遭いたくなったので。二人共、互いに逢いたい気持ちがあるからこそ、今の恋を大事に大事にしている所が愛おしく、思えてなりません。今回の美学のモチーフは「塔」。タロットカードやバベルの塔のように「塔」というものは建築された以上、必ず、崩壊しなければならないという運命が定められている。それは「塔」を建築することは「無」からイメージという「有」を作り出すという神の所業に等しいからだ。しかし、例え、事象は無くなっても誰しも共通するイメージがある限り、「塔」というのは残り得るのだ2015/06/25
凛
62
思いがけずイタリアで再会した黒猫と付き人。「遡行する塔」と「約束の映画」。その謎を解き明かしていく二人の空気感がたまらなく好きだ。つかず離れず、けれど、今回は少しだけ前進したかなという感じの二人の関係がもどかしくもあり、羨ましくもある。付き人の涙にはこちらまで切なくなったけれど。あのゴロンゴロンした最大のときめきシーンの後だっただけに!でも、その選択をするところが付き人なんだろうな。大丈夫。付き人ならきっといつか辿り着けるから。そして、それをきっと黒猫も待ってくれているから。私も楽しみに待ちたい。2014/09/27
のいじぃ
54
読了。ポゥの「メエルシュトレエムに呑まれて」、名もなき世界の異端。混在する要素、演繹と帰納、アプリオリとアポステリオリ、そして白と黒。建築から映画への繋がりがやや強引なのと登場人物たちの立ち位置を意図的に隠すための文章が拙く思えました。少女趣味が過ぎる陶酔手前の表現にも胸焼けが。別作者の「武道館」でもそうですが男性作家が描く「自分で選んだ未来」を言わせているそれが何なのか、気になるところ。「彼女」は真賀田四季が重なり、大渦から逃れるのが難しい一冊。付き人が「他言無用」をあっさり破っているのにも苦い笑みが。2015/10/07
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