内容説明
魔物のはびこる夜の森に、一人の少女が訪れる。 額には 「332」 の焼き印、両手両足には外されることのない鎖。 自らをミミズクと名乗る少女は、美しき魔物の王にその身を差し出す。 願いはたった、一つだけ。 「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」 死にたがりやのミミズクと、人間嫌いの夜の王。 全ての始まりは、美しい月夜だった。 ―― それは、絶望の果てからはじまる、小さな少女の崩壊と再生の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
183
予想外&予想以上に完全に物語に引き込まれ、アッという間に読了です。恒川さんの女性版といったファンタジーモノです。魔物にとらわれの身となっていた少女「ミミズク」、とある国の聖騎士「アンディ」に助けられ、つかの間の幸せを手に入れますが、果たしてその幸せが真の幸せなのか、記憶が封印されながらも「自分」を探し求めて悩み続ける日々、そんな彼女を取り囲み、優しさとユーモアで支える聖騎士の妻「オリエッタ」など、魅力あふれる人物が次々と登場し、物語を盛り上げてくれます。有川浩さんの解説もなかなかインパクトがありました。2015/05/20
夜長月🌙@新潮部
93
魔物に食べられて死ぬのが夢という可哀想な奴隷少女が主人公です。絶望の縁にある時、誰かのために役立てるということはきっと生きる糧となるのでしょう。幸福な時が静かに流れていたのにそれを踏みにじるのはいつも正しい善意。誰もが幸せを願って誤った道を歩んで行きます。(表紙をめくって1ページ目のミミズクと紅の花のイラストがとても印象的です。)2020/03/22
ゆみねこ
84
紅玉いづきさん、初読み。ミミズクと名のる死にたがりの少女と、人間嫌いの夜の王。とても素敵なファンタジーでした。有川ひろさんの解説が素晴らしい。2019/12/07
ミホ
62
読友さんの猛プッシュ付きで頂いた本。彼女は私の好みを知っている(笑)あるミミズクの少女は願いを持って夜の森へ進む。その森は夜の王が住む森。序章数ページで明かされるミミズクの願いは笑顔で紡がれる『わたしを食べて』。自己の終結を願うミミズク、夜の王、森に住む魔物との出会い、そうして過ぎた中で起きる大きな転機、場面も一転。少女を中心に進む物語は絶望であり希望であり、普通を知らないことが彼女の純真さが際立ったのかなと。有川浩さんの解説も好き。わたしも泣きました。2016/10/14
名古屋ケムンパス
56
どくまでもどこまでも優しく優しく描かれた少女とフクロウの愛のおとぎ話です。作者の限りなく純な想いが一途に綴られて、愛おしい感情を呼び起こします。美しいカバーのイラストがおとぎ話のイメージに寄り添うように柔らかくこの物語を包み込んでいます。2015/09/11