内容説明
人類が誕生して以来、国家間から男女の仲まで、「誤解」がもとでの悲喜劇は絶えることがない。それは恨み、嫉妬、断絶、争いを呼び、時には歴史を変え、芸術を生み、科学を発展させてもきた。人間とは切っても切り離せない「誤解」の、原因や種類からメカニズム、対策まで、気鋭の渋滞学者が系統立てて考察した前代未聞の書!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
102
著者は最初に「誤解とはコミュニケーションの流れにおける渋滞のようなものである」ということで渋滞学の一分野として位置づけられています。最初に事例があり、その後に理論的な話、原因とその予防などについて分かりやすく説明されています。私はどちらかというと社会心理学の地分野としてのほうがいいような気がします。けれどこのような新しい視点もあるのだということで楽しめました。2018/05/21
ま
32
数理モデルを用いて誤解を解き明かす。ひとつひとつの数式はもっとじっくり読まないと消化できないが、こんな分析の方法があるのかと驚嘆する。それだけでも十分面白かった。五章(誤解と社会)は誤解がどうとかより著者からみた社会一般について記したものだが、バケツリレーは水量七割がベストだという話は結構示唆的だった。2022/04/25
バトルランナ-
20
また、武田鉄矢に騙された!『三枚おろし』で9月に取り上げられていたんだけど、番組の内容とずいぶん違う気がする!13箇所印象に残った所があったんだけど、体系的に入り込んでこないんだよね。と思ったんだけど、もう一度youtubeで番組を聞き直すと確かに、いいことが書いてある。武田鉄矢の方が僕より読解力があると言うことが分かりました。誤解してました。(-_-;)おあとがよろしいようで。5点満点で4.6点。2015/01/31
読書国の仮住まい
6
誤解をコミュニケーションの流れにおける渋滞と定義付ける著者。 誤解とは単一化を避け多様性を確保する人間社会のメカニズムであり、必要悪とも言えるもの。 進化の過程において多様性は社会の安定性や頑丈性に大いに貢献している。 生物にとって単一化は死滅を意味する。 誤解は社会安定のための重要な機能。 人間社会において異質な考えを内包することで、人と人の間に歪みエネルギーを生み出す。 これを埋めるための行動の原動力をもたらす。 本当の自分はこうだ、皆こうした方がいいと思う根底に誤解がある。 誤解は永遠に埋まらない。2022/04/06
龍國竣/リュウゴク
6
『渋滞学』の著者が、誤解について、理系の頭脳で理論的に分析していく画期的な書物です。新型コロナウイルスの感性が拡大するなか、トイレットペーパーが店頭からなくなったのも誤解によるところ。こうした誤解がなぜ生じるのか、『さんまのスーパーからくりTV』の「ご長寿早押しクイズ」などを例に示しながら、明快に解説していきます。誤解の発生を完全に回避することを不可能とした上で、その後の類型を数学の用語を使い①収束型②発散型③中立型とした点が首肯できます。2020/05/12