内容説明
宗春は、本書のなかで、吉宗の政治を批判し、法は少ないほどよい、倹約主義はかえって経済を萎縮させる、年貢や諸役は軽く、多様な個性も重視すべきなどと、いわば「小さな政府」論を展開した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小鈴
11
NHKのBS番組・英雄たちの選択を見て尾張藩主徳川宗春の『温知政要』を知る。規制強化政策の吉宗に対し規制緩和を説く(が対立したため8年後失脚)。また、西洋より半世紀早く人権思想を説いていた、と(第三条千万人のうちに一人あやまり刑しても国持大名の恥である、第十七条たとえ千金を溶かした物でも、軽い人間一人のいのちには代えられない)。宗春により江戸、大坂、都の三都につぐ名古屋の地位を築いた人物。が、老中の策略もあって失脚したため肖像画はすべて燃やされ残っていない。。。存在を初めて知ったが、興味を掻き立てられる。2016/05/27
ふみすむ
1
愛知県民の教養として読んだ。日本全国でたった一人、徳川吉宗の享保の改革に真っ向から反発した第七代尾張藩主徳川宗春の政治方針を記した書物の原文・現代文の対訳本。数ある地方の一都市に過ぎなかった名古屋が、なぜ三都に次ぐ繁栄を手にするに至ったのか、その問いに答えてくれた。宗春の藩政は史上の実例として、今日の「小さな政府」を論じるヒントになろう。2011/08/29