内容説明
イランを舞台に描く壮大な一大叙事詩。
舞台は、イラン、イラク、旧ソビエト、そしてヨーロッパ・・・。壮大なスケールで描く超大作。ペルシアの地を目指した、2人の日本人が、苛烈な運命に翻弄されながらも強く生きる。
イスラム革命が成功したイラン。王の時代は終わりを告げ、念願のイスラム教を軸とする国家へと移りゆく。イスラムの教えを強く信じ、革命を成し遂げた革命防衛隊だったが、権力を手にしたとたん、内部からじわじわと腐敗がすすみゆく。革命の成功が、理想の国家を作り上げると信じていた革命防衛隊員サミル・セイフは、その現実を目の当たりにし、もう一度イスラム革命の理念を取り戻すべく戦う。
一方、イラク、イラン、トルコなど、カスピ海沿岸に国を持たずさまようクルド人。自らの国家を樹立するため、武装蜂起を計画。その意思を受けクルド人の武器を調達する日本人武器密輸商人ハジ。そして、イラン革命をつぶさに見てきた隻脚の日本人ハジ。2人の日本人の生き様を通じて、中東の置かれた現実や人々の思いを見事に描ききる。
長きに渡り、読み継がれてきた船戸与一最高傑作。小学館文庫にて刊行するにあたり、イランの地図と登場人物紹介を付記したものを電子化した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
55
中学生の時に読んで、すげえ!と思った記憶があります。イラン、イラクの国境を舞台にクルド人とイラン革命の運命を描いた物語ですが、自分はモスクワのシーンが引っかかっていたのか、その後ロシア語とか勉強することになりました。そしてロシアは今も変わらず物騒です。2026/02/18
mura_ユル活動
49
結構読まれている本かとおもったらそうでもないんですね。図書館で目をつぶってつかんだような本でした。厚いのを選考基準にして。舞台はイラン。ハジといわれる日本人、民族、宗教、そして思想。現代史に蹂躙された民族「クルド人」。そのゲリラ。密かに独立を図る、マハバード(聖地)の奪回。イスラム革命を死守するため「革命防衛隊」とのにらみ合いが続く。殺戮のシーンは突然にやってくる。ドキドキした。しかし、呼び方難しく、登場人物の名前が覚えられない。2014/11/06
姉勤
47
革命のイラン。イラクとの戦争、ペレストロイカのソビエト。時間的にも空間的にも、現代日本人には遥かなところだが、今尚続く銃火の連鎖は、本書の舞台の遥か以前から。その三つの国にまたがるクルド人の独立と国家の建設。それに関わる、それぞれ「ハジ」と名乗る二人の日本人。革命に、紛争に、分裂に、解けた縄が再びあざなわれる登場人物。生きるために憎しみが要る。ペルシャ人、アラブ人、クルド人…唯一神アッラーを戴く多民族の坩堝の砂漠の大地。平和に濁った眼で垣間見る、八百万の神を祀りあげる単一民族。2016/04/08
k5
44
あまりに世界情勢が身につまされる状況となったので、再読。♪「船戸与一」と書いて「かみさま」と読めえー、とうたっていた内藤陳さんは全ての船戸作品を複数回読むことを推奨していましたが、たしかにその方が人間関係は頭にすっと入るし、興奮するシーンは色褪せないしでよいなあ、と思った読書体験でした。革命防衛隊のサミルとクルド・ゲリラのニジャーブは感情の構造が似通っていて、一読だとワンパターンに見えるのだけれど、二回読むと両者の運命を意図的に重なり合わせているのかと思います。2026/03/21
ひよこ
34
初の船戸与一作品!舞台がイラン革命前後のイランなので、地理や登場人物の名前になれるまで少し大変だったけど、慣れてしまえばこの世界にはまりこんでしまう!2人の日本人、革命防衛隊の若者、クルド人のゲリラ、彼らがここから物語の中でどう絡み付いていくのか、下巻がたのしみです!2015/12/11




