内容説明
昭和10年春、女子医専を卒業した寿子は、満州・大連へ赴任する。帝大の科学者と祝言をあげたちゑ。六代目尾上菊五郎の妾となった芸者の松太郎。不穏な世相を背景に、三麗花はそれぞれの道を歩みだす。やがて訪れた再会の日、満州国皇帝の御前で彼女たちが詠んだ秀句とは――。永井荷風、高浜虚子、甘粕正彦、川島芳子、愛新覚羅溥儀ら、多彩な人士と交錯する、三麗花それぞれの人生。“句会小説”として話題となった直木賞候補作「俳風三麗花」、待望の続編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
to boy
13
あまり期待していなかったのだが(なぜ買ったんだ)・・・素敵な小説でした。雰囲気、文章、内容ともにすばらしいです。昭和10年から22年までの市井の様子が手に取るように描かれています。満州の様子やら女性の社会的立場などが生き生きと描かれていて主人公の籌子さんをめぐる人たちの姿が目に浮かぶようです。前刊があるようなので是非とも読んでみたいです。2014/05/22
真竹
4
俳句を通じた友情で繋がる三人の女性、それぞれの生きざまを描いた作品。戦前から戦後までを生きる彼女たちが、折々に作る句が印象的です。選び抜かれた言葉の持つ力を、最も感じられるのが俳句だと思います。俳句の良さをもっと味わえる大人になりたいわ。2014/05/23
mt
2
前作の「俳風三麗花」を読んで、久しぶりに綺麗な日本語で綴られた小説を見つけたと一人ほくそ笑んだ。俳風三麗花は句会を中心に時がゆっくり流れる「静」に対し、今回は激動の日本と満州が舞台になる。前作が好みだが、どちらも三田完の文章を堪能した。感想の登録が3人とはちょっと寂しい。2015/04/11
もも
2
民草の花こそが、ひとびとの生きる中でのかけがえのないうつくしいもの。 素晴らしい小説でした。2014/05/09
のりべぇ
1
三田完作、初。 昭和10年から22年の話だが、戦争の真っ只中を飛ばすワザが凄い。 有名人も多数出ております。 甘粕の扱いがかなり良いなぁ(個人的には安彦良和の虹色のトロツキーでのキャラが好きだが…) 川島芳子がよく出てくる小説は初めてでした。 この方、イメージと写真の感じが全く違う人なんだよな。2016/11/03