内容説明
愛と勇気と希望が生まれる青春小説。
《駅のトイレなどに比べると、ファミレスは清潔だし早朝は人も少ない。ぼくは時間をかけて顔を洗い、ていねいに歯を磨くと、安物の電気シェーバーでひげを軽くあたった。
身なりはできるだけ気を使うようにしている。ねぐらを失くしてからも、なんとか仕事を見つけてしのいでいけるのは、こういう当たり前の感覚を喪っていないからだ。その一線を越えると、ホームレスと同じになってしまう。
いや堕ちたっていいのだ、と囁く自分もどこかにいる。生きがいも目標も、とうに失くしていたからだ。》ーー本文より
母の死と派遣切りをきっかけに家を失い、日雇い労働で生活をつなぎながらカプセルホテルに寝泊まりするケンジ。そんな中で、社会起業家を目指す台湾の女子大生メイランと、街角のゴミを集め環境問題を研究するオッサン「地球先生」と出会う。それをきっかけに、ケンジは後ろ向きに生きて来た自分を思い直し、人生を立て直していくことを誓う。
ところがある日、台湾に帰ったメイランから、SOSのメールが届いた…。
人はどんなに辛い状況に陥っても、必ず再生できる。そんな勇気と希望が生まれる、心温まる青春小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あやっぴ
24
突然派遣切りに遭い、住む場所も無くし、ホームレス寸前の生活に陥った古沢。ひょんなことで出会った人たちがきっかけで人生が少しずつ変わっていく話。現代の深刻な環境問題、飢餓問題。古沢は「どん底」の生活を経験したからこそ、人生を見つめ直すことができたのではないでしょうか。困ってる人を助けてあげる優しさも。私自身も「生きる意味」について深く考えさせられました。お気に入りさんのレビューで選んだ本ですが、読んで良かったと思う一冊になりました。2017/01/17
メルル
22
いつ自分がこういう状態になるかは分からない。突然、職を失い頼れる人もいない。路頭に迷う一歩手前の状態でなんとか人としての生き方にしがみ付こうとしている古沢。そんな古沢がたくさんの人々に出会い立ち直っていく。誰かが手を差し伸べてくれなくてはどうしようもならない現状にやり切れないものを感じた。地球先生の活動は素敵だし人生の先生と言えるような発言が多かった。私にしかできないことってなんだろう。2015/05/07
katsubek
19
勇気をもらえる本。青臭いけどそれがいい。地球のために、私たちが出来ること。考えてみよう。2014/05/04
ウィズ
17
現時点で2015年は2月が始まったばかりですが、この本は多分自分の中の年間トップ5に確実入ると思えるほど傑作でした。派遣切りでホームレス一歩手前まで落ちた青年の魂の再生と自立の物語です。興味がある方は是非読んでみてください。2015/02/03
R2
13
地球先生のセリフがいい。「芽は太陽と水がないと育たない」「誰にでもできる仕事は機械の部品と同じや」それを言われてなんとかしなきゃと踏ん張る主人公もまたスッキリしていていい。大切なことは、友好関係と自分のことではなく誰かのためを想って行動すること!2015/01/24




