角川書店単行本<br> 芥虫

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角川書店単行本
芥虫

  • 著者名:桔梗素子【著者】
  • 価格 ¥1,540(本体¥1,400)
  • KADOKAWA(2014/04発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041106914

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内容説明

痴漢をして捕まり、平和な日常を失った「俺」の居場所は、職場の片隅と家庭だけ。身を隠して暮らしていた「俺」だったが、他人の善意をきっかけにすべてが失われていき――。幸せを求める男の、悲哀と苦悩の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あも

89
この閉塞感、どん詰まり感。たまらん。魔が差したとしか言い様のない痴漢で職を失い工場で働く路村。献身的な妻、5歳の娘。どれだけ懸命に過去に砂をかけても、その砂は些細なことで吹き飛ばされ罪を曝す。贖罪といえば大抵、殺人者の話だが、このどうしようもなさ。自業自得以外の何物でもない故に、路村の抑圧感や懊悩は非常にリアル。本人は本来、人格的にも能力的にも優れてるんだろうと思わせるだけに、苦しい。玉に付いた瑕はどうすれば拭えるんだろう。許せる殺人はある気がするけど許せる痴漢はないなあ。罪って、人って、償うって難しい。2019/03/21

おかだ

58
なんとも可哀想に…電車内での痴漢行為、たった1度の出来心で、こんなにも生き辛く追い詰められてしまうのか。過去の罪は付き纏い、家庭でも身を縮め、痩せさらばえて苦しんで…哀れ………なーんて言うと思ったか!!馬鹿野郎!!自業~自得じゃーい!!嫁が可哀想!嫁と娘こそ哀れだわ!しかも反省の色薄っっ!!性欲全然抑えきれてへんやん!もう嫁、そんな頑張んな!そんな男、捨ってーろ!捨ってーろ!!…といった具合で脳内シュプレヒコールですわ。男性と女性で読後感割れそう。書いたの女性作家さんなのが凄い。なんだかんだ夢中で読んだ。2019/07/05

らむり

49
痴漢の前科あり男が再出発を図るも、じわじわ地に堕ちていくお話です。終始、重くぞわぞわ。。幼娘のリアルな愛らしい描写がそれを浮き立たせてます。女性が書いた割にはえげつないかも?2014/05/28

ごみごみ

35
何故「あんなこと」をしてしまったのか。出来心。魔が差した。精神的に参っていた。どんな理由があろうともそれは言い訳に過ぎない。性犯罪者とその家族の苦悩。本人は自業自得だけど、妻は?娘は?ここまで身を潜めた生活を強いたげられるとは!気の毒にも感じるが、実際自分の周りにそんな家族がいたら、普通に交流できる自信はない。奥さん、早く離婚すればいいのに、と思ってしまった私は冷酷なのか?犯罪者が刑期を終えても、どんなに反省し悔やんでも前科は消えない。二度と戻れない。幸せになれた方が再犯は減るのかもしれないけど…2019/08/11

梅ちゃん

30
2019.08.03読んでいて息苦しくなる作品でした。痴漢で捕まった教師。世間から隠れるように名前を変え、妻と幼い娘と暮らす。製造業のアルバイトで生計を立てるが、その真面目な態度から正社員の道が開けてくる。そこからほころびが広がっていく。周りの執拗な低レベルな嫌がらせも苦しい。妻子の息をひそめるような生活も苦しい。きっかけは痴漢行為。リアルでも公務員のわいせつ行為が目につく昨今、痴漢だけでなく全て犯罪行為が本人だけでなくまわりを巻き込むことを肝に銘じなくては。2019/08/03

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