内容説明
官軍に失望し、賊将となっていた程普(ていふ)。だが孫堅(そんけん)という大志を抱いた将に出会い、彼の運命は変わる。「主君を皇帝に」。しかし主が志半ばで倒れてから彼の中に芽生えたのは、若く有能な軍師・周瑜(しゅうゆ)への言いようのない嫉妬と焦りだった。そして運命を決める「赤壁(せきへき)の戦い」が迫る。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
92
吉川永青版、戯史三國志第二弾。中国の広大な大地を駆け巡るスケールの大きさで描かれた覇権への夢、そしてそれとは対照的に描かれるいつの時代にも変わらず人の心の中に芽生える小さな嫉妬とのコントラストに人間味が感じられて面白い。戦闘中心の描写となりますが、登場人物それぞれの個性がわかりやすく、生きざまや死にざま、戦略と智謀、といった面白要素がうまく取り込まれています。残りの第三弾も、しばらくしたらいってみたいです。2018/10/18
優希
29
賊将に堕落してしまった程普を主人公に物語は続きます。孫堅との出会いにより運命が変化していくのに引き込まれました。しかし、孫堅が志半ばにして倒れてしまうのですね。程普の想いは周瑜への嫉妬と焦りになってしまうのも納得です。そして運命は赤壁の戦いへと導かれていく。三国志のクライマックスなだけあり、引き込まれました。戦略と智略の絡みが面白くてつい読まされてしまいます。2024/10/31
スー
24
112程普とは渋い、孫堅・孫策・孫権と3代に仕え文武で活躍した忠臣。陳宮編で登場した程普の不自然だった態度がこちらで答え合わせができ孫堅側の思惑が分かって良かった。3人に仕えた程普が年齢を重ねるにつれ立場が変化し孫堅時代は若くただ前を向きがむしゃらに進むだけが孫策時代になると中堅となり若手の周瑜の登場で対抗心を燃やし孫権になると周瑜の下になり留守番が増え拗ねてしまう、先頭で戦い何でも相談されるのが当たり前だったのにいつしかそこには若手に変わっている状況に落ち込み怒る程普や黄蓋は今後の自分の諌めしたいです。2021/09/26
蛇の婿
15
戯史三國志、2巻目の主人公は程普w 程普の持ついぶし銀の魅力と、あまり他の三国志では描かれない呉の成立譚が非常に興味深いです。特筆すべきはやはり作者がその主眼としたであろう袁術、周瑜の描き方でしょう。この視点は今まで無かったのではないかと思います。…太史慈はともかく2喬のエピソードを削ったのは何故なのでしょう。長くなるからかな?少しだけ残念w ラストが大好きです。2015/11/11
つみれ
15
黄蓋、韓当とともに孫家三代に仕えた孫呉の重鎮程普を主役に据えたイブシ銀三國志シリーズの第2段。通常、三國志の物語が彼に与える役割は、洛陽で発見された印綬を伝国の玉璽であると鑑定したり、若輩の周瑜を侮辱したりと、赤壁の戦いで華々しい活躍を見せる黄蓋と比べはるかに地味。しかし本作では、冷静沈着で文武両道のナイスガイで、まさに孫家の宿将という言葉がぴったり。周瑜との確執のエピソードも人間味が溢れていてよかった。一部、文章が野暮ったいと感じるところもあるが、自己流の三國志を描こうとしている姿勢が伝わってきた。2013/12/09
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