内容説明
《人質ゲーム》――それは自らを人質にして第三者に交渉を求める禁断のゲーム。だが、三浦可憐の目的はゲームの“拡大”だった! 学校に閉じ込められた約七百人の生徒達。人質は百人に増え、そして檻の下の穴には可憐を含む三人の死体が落ちていった。 あれから一週間。一向に解決しない状況への不満は、ゲームを終わらせようと行動を起こした高城幸介へと向けられていく……。 人質をすべて解放するか、十人の生贄を捧げるか――。約七百人の生徒達が選んだ選択、そしてゲームの結末は?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星野流人
17
数ある土橋作品の中でも屈指の後味の悪さを誇る作品。しかしながらゲーム性のおもしろさのあった「演じられたタイムトラベル」や極限状態での心理状態の描き方に上手さのあった「生贄のジレンマ」に比べると、どちらも今ひとつ決め手に欠ける印象。今までのMW土橋作品の内容よりもゲーム性が薄く、ただ単に閉鎖空間が出来上がってしまっただけに近い状況になってしまったのが残念。ゲームを通して心理状態を暴いてこその土橋さんだと思うのです。意表を突かれたオチは、ううむ、ズシリと重いですね……。 7/10点2013/09/01
coco夏ko10角
12
生贄になる10人は誰なのか?ジャックは誰なのか?Xは?と色々あったがなんとか終了。それよりも最後の最後が「あら」といった感じ。人質の立場が強くなったり弱くなったり…。今回のゲームでは最初から最後までいい人だったり正義でいられた人がいないのがリアル。2013/08/25
ササキマコト
9
う~む……ちょっといつもと毛色が違うかな(--?どの時点でルール変更(隠れルール発覚)が入るかな~と思いつつ読んだのですが、特にそんなこともなく。人のエゴや狂気、それに伴って起こる行動の描写を中心に据えたのでしょうが、その分ゲームとしての面白味はイマイチでした。良い意味で期待を裏切られたのは間違いないですけどね。全員生還ルートを誰も探し始めないのは新鮮でした。欲を言えば、もう少しゲームと「ジレンマ」の部分を作品に盛り込んで欲しかったです。2013/09/08
青井
9
犠牲を出しながらもそれなりに落ち着くいつものと違って、今回はえらいバッドEDだ。いつもに増して「反吐が出る」話でした。表紙の鳥籠の中に鳥籠が…は人質と傍観者の立場の入れ替わりの繰り返しを表してるのか。一番アレだったのは人質たちが可憐の本意を勝手に都合のいいように取り替えていたこと。可憐が一番怒っているのは女子生徒を追い込んだ教師じゃなくて、恋人をいじめた&それを見て見ぬ振りして何もしなかった傍観者だと思うんだけど、それをさっぱり綺麗にスルーしてたのが人間のエゴを感じるわ…。2013/09/07
東西
8
ゲーム主体というよりは追い詰められた状況での集団心理の話でしたね 復活した高城の行動が妙だと思ってたが、やっぱああいう最後か… 土橋真二郎の作品では珍しいですね ジャックの正体とか、何となく予想していたが、さりげない伏線がよかった2015/05/15