内容説明
暗黒物質やヒッグス粒子など、宇宙の根源的な謎がいま明らかになりつつある。研究の現場で何が起きているのか?
基礎となる理論から最新の実験・観測の方法まで、異端の素粒子物理学者が100を超えるスライドと共にわかりやすく語った、3時間×4日の一般公開講座<完全版>。
目次
第1章 ブラックホール―空間と時間の混ざり合う場所(反物質とは何か? 対消滅と対生成―物質とエネルギーは姿を変え合う ほか)
第2章 ビッグバン―人はなぜ宇宙をイメージできないのか?(落下するリンゴと落下しない月 星はなぜ宇宙に散らばっているのか? ほか)
第3章 暗黒物質―そこにいるのに捕まえられないものを、いかに捕まえるか?(星は必ず動いている 公転速度は太陽に近いほど速い、遠いほど遅い ほか)
第4章 そして宇宙は創られた―想像力と技術力で辿り着いた世界(温度とは何か? 修学旅行のスキーと生徒のエネルギー ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(C17H26O4)
83
読みやすいし面白かった。でももっとちゃんと理解したいなあ。物理の知識があったらはるかに楽しいに違いない。一般の人向け講演を本にしたものとあり、親しみやすく平易に書かれている。だけど、わたしには難しかったところもあるのが悲しい本音。イメージの助けにはなっているけれど、イラストもそんなに分かり易いかなあ(単に好みの問題かも?)。でもこんな講座なら敷居も低いし聴講したい。もっと色々知りたくなるし。科学的にとても難しいことを一般の人に興味を持ってもらえるように、且つ簡単に正しく説明するのって大変なのだろうなあ。2020/05/31
かんやん
33
宇宙に関するポップサイエンスの本を何冊か読んできて、それぞれ工夫を凝らし特徴あるのですが、なかでも本書はイラストや写真満載で楽しい(『137億年宇宙の旅』には図や表が一切なかったことに、改めて驚嘆する)。著者の専門が素粒子物理学のせいか、いきなり反物質の話に始まり意表をつかれる。暗黒物質検出装置の仕組みなども解説。親しみやすい語り口で、わかったような気にさせてくれるのだけれど、ま、わかってないですね、自分は。超対称性理論とか、ペッチェ・クイン理論とか…???。まだ重力波が観測される以前の公開講座。2019/12/22
kei-zu
32
4回の講義の合間にコラムの構成。ゼットンの1兆度の火の玉など比喩が楽しい。 第4章のエネルギーの概念については十分に理解が及ばなかったが、ビッグバンやインフレーション、宇宙の晴れ上がりなど、昔読んで半端にしか理解していなかった内容が整理できたのは良かったです。 著者のユーモアあふれる語り口は、難しい内容を分かりやすく手立てとして勉強になります。2023/01/10
Ayumi Katayama
23
ああ。やっぱり宇宙の話は楽しい。特殊相対性理論、一般相対性理論、ブラックホール、ビッグバン、暗黒物質、暗黒エネルギー、宇宙誕生、ヒッグス粒子。東京カルチャーカルチャーでの講演を書籍されたそうで、かなり平易に説明されています。最後のこの一文が印象的。2018/09/30
ぶう
20
「ブラックホール」や「ビッグバン」、「暗黒物質」など、一般的に興味を持ちやすい内容を中心に解説されている。本来なら難解な説明で書かれる事が多い事柄(素粒子など)を、ユーモラスな例え方を交え解説してくれているため大変分かりやすい。特にブラックホールの解説を読み「シュバルツシルト半径」の概念を理解できたのが収穫だった。今までは重い天体であればブラックホールになる程度の曖昧な理解であったが、重力から脱出する距離が重要なのね。読後に著者の写真を拝見して更にビックリ!流石天才と言われるだけあり風貌もぶっ飛んでいた。2022/02/17