内容説明
産科の訴訟件数は外科の4倍、内科の8倍。リスクを恐れて産科医になる人が激減しています。医療不安が医師を減少させ、医療崩壊へとつながっている現実。医療の危機的な状況と改善に向けた取り組みを紹介する一冊。
目次
第1章 瀬戸際に立たされた周産期医療(医療行為自体が業務上過失致死に問われる A医師のとった医療行為に問題があったのか ほか)
第2章 産科医がたりない(なぜ産婦人科医は減り続けるのか 産婦人科医の“産科ばなれ” ほか)
第3章 不妊治療・高齢出産の現実(分娩費用の「適正価格」 妊婦健診費助成券の効果 ほか)
第4章 緊急時の対応(妊娠中のインフルエンザ対応 3・11東日本大震災 ほか)
第5章 安心・安全の出産をするために(これから産む人、育てる人へ ピルの服用と妊娠の関係 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ruka Takahashi
3
今の日本の産科医の窮状がわかります。このまま少子化が進むと日本という国は移民を受け入れなければ成り立たなくなる、産科医の現場を良くすることから変えていくのだ、という危機感をもって取り組まれている吉村先生には脱帽です。医療の現場側任せでなく、出産というのは奇跡に近い偉業であると言ってもいいほどリスクと隣り合わせであることを我々は知る必要があるのだとヒシヒシと感じました。日本ほど安心して産める国はないが、それに甘えてはならない。2014/01/28
Miki Kusunose
2
産科医療の危機を医師の立場から。少子化対策の一つとして産科の充実は必要だと感じられました。一部、助成金関連は賛同しかねる部分、学会の情報配信への自負については広報不足で知られてないように思うが。。。2014/09/26
おかえ
2
産科医不足の背景など、参考となる所はたくさんあった。ただ論点が五月雨式に示されており、ややまとまりがない。あと、小論文講師の目からするとあまり文章は上手ではない。2013/10/20
ななこ
2
日本の産科の現状がわかる本。産科関係者・医療従事者だけでなく、広く多くの世代(特に若い世代)に読んでもらいたい一冊。2013/04/26
なめこ
1
日本では年間約60人が出産時に亡くなっている。それなのに死亡=医療ミス、という安全神話が根強い。根底には、子どもをもってあたりまえ、子どもをもたない夫婦は欠陥人間、という神話もありそう。それはさておき、学会長を務めた筆者の強い自負はよくわかったのだが、論点がばらけた文章で読みにくかった。医者なんだから別にいいんだけど、編集者仕事しろ。2016/02/18