内容説明
決戦前に兄弟の確執が表面化するも、朝鮮半島へ出動した大和の軍勢は唐軍の火攻めに果敢に挑む。白村江の大敗後、古代の政治家たちはいかに日本を守り抜いたのか。日本とアジアを活写した古代史三部作、完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
future4227
15
いよいよ大和三部作の最終巻。ついに白村江にて唐との直接対決。唐の巨大艦隊に小さいながらも数で圧倒する大和艦隊。赤壁の戦いとバルチック艦隊との大海戦をミックスしたような激しい攻防戦。まさに大スペクタクル!間違いなくシリーズ中最も面白い一冊。2016/01/12
TheWho
8
下巻に入り、いよいよ百済再興の為、大和軍の百済出兵、そして大和百済連合軍と唐新羅連合軍の白村江の戦いへと進んでいく。物語は、百済復興政府の内紛や、大海人皇子の大将軍罷免による大和軍内部の不協和音などに始まり、苛烈な白村江敗戦の全容が克明に描かれ、また戦役後の見事な敗戦処理も語っている。特筆すべきは、白村江の敗戦と第二次世界大戦の敗戦を日本史上同一の出来事として解説している。そして額田王の悲歌「茜さす、紫野行き、標野行き、野守は見ずや、君が袖振る」が言い寄れぬ感動を与えてくれた古代史三部作の完結編です。2015/03/24
だまし売りNo
4
本書では中臣鎌足や阿倍比羅夫ら様々な人物が視点人物として登場する。それらの視点人物に吉野の乱(古人大兄皇子が謀反を起こしたとされた事件)に連座した元反逆者や唐への内通者とされた人物を持ってくることで大和朝廷内の複雑な事情を浮き彫りにし、ストーリーに厚みを出している。政治や戦争中心の歴史小説において中大兄皇子と大海人皇子と額田王の三角関係を引きずらせており、バランスもとれている。2018/06/15
おぎにゃん
4
西戎、北てき、南蛮、東夷…全てを支配し世界に君臨する事を自らの定めとする大唐帝国。百済滅び、高句麗も風前の灯火。高句麗が滅べば、残る東夷は「大和」のみ…大和が白村江の敗北以後、大唐帝国との「和解」を成し遂げたその陰には、「遥かなる大和」以来の、民族の垣根を越えた、大陸と列島の人々の「和」があった…今、とてつもない感動に打ち震えている。真の「平和」とは、如何にして勝ち取るべきかを教えてくれる、空前の大傑作である。2014/02/14
uganin
0
上巻を読み終えた勢いでそのまま一気に読了。特に中盤の白村江(はくすきのえ)の戦いまでの緊迫感、迫力には手に汗握ります。 確かにこれほど読みやすく、面白い歴史小説はそうそう無いでしょう。教科書では伝わらない、日本の歴史への興味を掻き立ててくれます。 著者の「古代からの伝言」シリーズを再読したくなります。2015/09/22