内容説明
世界一うまい米作りを目指して、革新を続けてきた福島の農業集団「ジェイラップ」。しかし、福島原発事故以降、彼らが闘う相手は、目に見えない放射能と、世間からの偏見に変わった。絶望から立ち直れるか? 大宅賞作家、10年に及ぶ取材の集大成!『それでも、世界一うまい米を作る』を全面改稿して改題。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
66
非常に良かったです。タイトルは震災関連の本ですが、それだけでなく、日本の農業、コメ作りをどうするか、外国の安い農産物にどう立ち向かっていくか。真剣に闘っていく人々の姿が描かれています。これまで農業は知識と経験と勘だと思っていましたが、違うんですね。綿密な戦略、実験データと解析に基づいた栽培方法。過去のしきたりからは大きく外れるし、いわゆる田舎の付き合いの中、進めていくのは難しいことも多いと思いますが、こうした人たちがいる限りまだまだ大丈夫だと思いました。目標に向かって進むリーダーの力は大きい。★★★★★2013/06/24
ユザキ部長
46
正に放射能に抗う。でも常日頃から行っていた事。大切なのは強いリーダーがいる事かも知れない。記憶ではなく記録する農業。農協とは違い販売会社ジェイラップは農家と間で作物価格の事前契約をする。なので農家は安定的な農作がジェイラップ(農業生産法人稲田アグリ)の指導の下出来る。その中で未曾有の放射能汚染問題。科学的にデータと実験を重ね安心安全な米を作り風評被害との闘いがある。汚染問題は現在進行形ですから我々はもっと抗い続けなければならないと思った。2014/02/03
り こ む ん
32
タイトルからは、311以降の戦いの記録かと思いきや、現在の食料事情、農家の現状、取り組みなどの勉強になる内容だった。私の父の生家が、専業農家、現在は代が代わり兼業になっている。携わってない私が、言うのは筋違いだけども、見ていると、農協に頼りきり…専業だった祖父の時代に比べると、かなり縮小し、作物も祖父と比べると…。なんか疑問を持ち、危機感を持ち、それに向かうかと言うと、のどかに農協がやってくれるから大丈夫らしい…まぁ〜個人でやっていればそうなのかも?2014/06/03
かんちゃん
5
タイトルとは異なり、3.11以降の福島における放射能汚染への取組みは序章と終章ぐらいでしか触れられていない。残りの大半は、日本の農業の抱える本質的問題への挑戦をレポートしている。結果として、興味を引いたのは後者である。タイトルは出版社の販促目的ではないかと勘ぐってしまう程に主客転倒の感があり、日本の農業や食糧自給の記述は実に示唆に富んでいる。農業ならずとも、他の斜陽産業に関わる者には大いに参考になるだろう。2014/06/30
Ikuto Nagura
5
震災からの復興物かと思ったら、日本農業の復興というもっと大きな志を持った男のルポであった。農業政策の失敗だけでなく、圧倒的多数の学ばない消費者が、農家と日本農業をダメにしたとの指摘は耳が痛い。伊藤俊彦氏の持つ、味と食の安全への使命感。農業への誇り。時代を見据える先見性。人間としての魅力。それらを含めジェイラップの事業による日本農業改革の歩みを、フクシマ事故で潰したとしたら、政府、東京電力、そして私たちの罪は大きすぎる。食べて応援の本質的意味と、美味しんぼの投げ掛けようとした問いの意味が、本書にある。2014/06/24
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