内容説明
屋根裏部屋の武者人形が持つ剣に血が噴き出した時、家族が死ぬ。彼女はそう信じ込んでいる。揺れ動く思春期の少女が入り込んだ心の迷路と夢魔の世界。不気味な結末の表題作をはじめ、いつまでも回り続ける大きな回転扉の向こう側の世界を描く「回転扉」や、死ぬまで街中を競歩し続ける男が主人公の「ねじおじ」など、風刺が冴える奇妙な味の幻想譚12編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホレイシア
7
表題作と「壁の音」はなかなかよかったが、あとは著者にしては平凡かなぁ。どれも短編としては詰めが甘い気がする。2010/12/11
王天上
5
裏表紙には奇妙な味の幻想譚とあるが、幻想は薄め。文体が軽くまんがちっく。普通小説の「ラスト・オーダー」がありがちだけどいい話で印象に残った。年を取ったと感じる。2016/09/22
けいちゃっぷ
1
短編集。バラエティだね。
ひろ
0
死を扱った短編集。「友達はどこにいる」と「ネコのいる風景」が面白かった。友達はどこにいるは、轢き逃げで被害者に2週間の怪我を負わせた主人公とそれを脅す老人の話。老人は毎月主人公にお金を要求する。金額5000円。その老人が病死し、主人公は老人が轢き逃げの顛末を書いた手紙を預けたという、老人の友達を探す。短編集なのですぐに読めます。2013/07/20
fre634
0
話のジャンルにもテーマにも全く統一感がないにもかかわらず「これぞ山田正紀」という味で統一された見事な短編集。月5000円のしょっぱい恐喝をしてくる老人が急死して、彼が生前言っていた「私に万が一の事があった時全ての事情を警察に届けてくれる友達」を探す羽目になったサラリーマンの話「友達はどこにいる」とラストの短編「ラスト・オーダー」が素晴らしい。2011/11/23