内容説明
田辺聖子さんといえば、女性の心を鷲掴みにする甘やかな恋愛小説や、古典教養の世界に軽やかに誘う名随筆の数々……だけではありません。1971年から16年間の長きにわたり週刊文春に連載されたエッセイ「女の長風呂」シリーズには、男女の性の話、つまり下ネタが満載! 「女の性欲」「四十八手」「名器・名刀」などなど、今日の文豪・田辺聖子のイメージをひっくり返すようなタイトルが毎週並んでいました。もちろん、田辺エッセイに欠かせない相方「カモカのおっちゃん」も絶好調。笑い、ペーソス、下ネタ、時事ネタ……私たちがエッセイに求めるすべてがそこにはあります。おせいさんのエッセイが毎週読める、そんな贅沢な時代がたしかにあったのです。
本書は、長寿連載の中から、さらなる絶品、逸品を選り抜いたベスト・オブ・ベスト第1弾。女(男)ってこんなこと考えてるのか! と愕然としつつも、深いアフォリズムと成熟した大人の智恵が深く心に響いてきます。まさに必読。まだ読んでいない貴方が羨ましい、と申し上げるほかはありません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
66
下ネタです。ほぼ全編、下ネタです。なのに不思議と下品ではない。なぜか。筆致に軽さがあるからである。ユーモアがあり、逆にイヤミがないからである。おおらかさがあるからである。教養があるからである。カモカのおっちゃんとの丁々発止のやりとりも、どこか余裕がありお互い様と許し合う様子があるのだ。昨今のフェミニストなんぞとは人間の幅が違う。男と女にどこまでも理解し合えないところがあることを承知しながらも、違うからこそ愛おしみ、許すのだ。違いを認め、お互いに相手を追いつめないという態度こそ知性であり、教養であろう。2023/01/27
Shoji
53
男女の性差というか感性の違いを面白おかしく綴ったエッセイです。男と女がまだ恥じらいを持ち、奥ゆかしい時代に書かれた一冊です。楽しく読むことができました。タイトルがなんともいい!2018/11/22
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
41
週刊文春に連載されていた『女の長風呂』→『イブのおくれ毛』からのベストセレクションエッセイ集1。この1は、どうやら下ネタ系らしい。下ネタといっても田辺聖子さんが書くから、サラリとして軽妙酒脱。下心無しでこんな下ネタを楽しく話しながらお酒の飲めるカモカのおっちゃんみたいな男友達が欲しい!2015/01/29
団塊シニア
30
女性の視点から書かれた下ネタエッセイであるが全く下品ではない、むしろ人生の深みを感じさせる文章である。大阪弁を織り交ぜてるのでユーモアと知性が感じられ読後感は爽やかです。2013/04/14
双海(ふたみ)
24
思わず吹き出しました。「人のすなるカツラを我もかぶらんとビリケンあたまに打ちのせて恥ずかしげもなく町をのし歩き…」2015/01/12