内容説明
何ものにもとらわれず、独り庵を結んで自由自在な生き方をする良寛に、いつしか慕い寄ってくる人々――みずから「大愚」と称した良寛の老いを自覚するまでを描く、遺作長篇の後篇。惜しくも絶筆となった、著者最後の作品を、待望の文庫化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
うたまる
1
「わしのしてきたことはな、ただ捨ててきただけじゃ。最後にこの身を捨てて終りじゃろう」……叙述スタイルに慣れたためか、下巻は一気読み。良寛らしい味のあるエピソードの数々に惹き込まれ、中でも鼻くそと喫茶のそれは久しぶりに声を出して笑った。期待していた詩歌も多数採録されており嬉しいところ。『維経尼へ』と『空盂』は全文を丸暗記したいな。また本書が著者急逝のため未完である事を知る。読者としては最後まで読みたかったが、著者はそれ以上に書きたかっただろう。他、解説も絶品。40年来の友人による吠えて哭く弔辞のようだった。2016/07/28
すうさん
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やっと読了した。上下巻通してたくさんの俳句が載せられていた。もちろんそれの意訳も書いてあり感動的だった。また道元の説いた禅宗をまさに実践した良寛さんの生き様が本当によく伝わった。自分が持っていた全てのものを手放し最後は自分自身も捨て去った良寛。しかしそこには果てしない「生きる苦しみ」が存在した。特に晩年になるに従い、「生きてい生きている悲しみ」が増すばかりであった。子供たちの元気は笑い声と対照的に、老いて自分の周りからすべてのものが失われていく良寛の寂しさ悲しさが浮き彫りになる。静かな結末に祈りを捧ぐ。2016/04/06
かぶき者
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私の中では堅いイメージのあった良寛ですが、本書を読んで人間性に溢れていることがわかりました。2014/06/21
みむら しんじ
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一衣一鉢、すべての無駄と欲を削ぎ落とし、世間から特別扱いをされるのを恐れ、権力者が拾うともこれを避け、ただ坐りただ作務を全うする良寛。雲をたのみ流れる水をたのみとするただの禅僧を全うしようとこれにあい務めた。辞世の句とも言われる「裏をみせ表を見せて散る紅葉」こそ、喜びも悲しみも、人生の裏も表も見せて見事に散っていった良寛そのものの句であった。下巻を読了。2013/04/29
竹香庵
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昔『~随聞記』を難解ながら読んだことがあり、さらにこの度『道元と親鸞』を読み進めるうちに、立松和平のこの本を知る。よかった。釈迦の教えを道元の導きで良寛と共に学べたような気がする。どこかからの転載ではなく著者自身による正法眼蔵や法華経、般若心経の現代語訳があり、すでにこの世にない著者ではあるが、その人の心に近づけたように思われた。ふと思う。語学や楽器など「すぐにできない・上達しないもの」も、もしかしたら修行という側面があるのやも。できるできないではなく、日々続ける。今なすべきことを熱心になせ。嗚呼...。2025/04/14




