内容説明
古代史とは「日本」の深層を探ること――日本という国号はいつ成立したのか? 大王家はなぜ天皇へと変わったのか? 万世一系に断絶はなかったのか? そして最大の謎、『古事記』は果して偽書なのか? 縄文以前から国家としてのシステムが整う天武・持統朝まで、通史として俯瞰し見えてくる新たな歴史像! 上巻
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AICHAN
41
図書館本。アスカもナラも韓国語だし、また日本書紀では南伽羅をアリシヒノカラと読ませている。「在りし日の…」というのは懐かしむ対象に言う言葉だろう。とすると当時の大和朝廷の権力者にとって南伽羅は懐かしい土地だったということになる。なぜか? 彼らが南伽羅出身だったからではないのか。といった理由から私は、天皇家は朝鮮半島の王族たちだったと思っている。そういう結論を期待してこの本を読んだのだが、大和朝廷が朝鮮半島と深い関わりを持っていたことは十分に認めているものの、天皇家のルーツには言及してくれなかった。残念。2018/07/12
謙信公
16
上田史学の集大成。著者の古代史研究の端緒である津田史学との出会い、天皇制とは何ものかという疑問から、古代世界が広がる。古代史とは「日本」の深層を探ること。稲作のマツリから始まったヤマト政権、「鬼道」に事へる卑弥呼の正体、古文献や金石文に記される朝鮮半島との深い関わり、巨大墳墓を残した河内王朝、ヤマトタケル伝承と地方平定、葬られた王朝・北ツ海と出雲文化圏、吉備、筑紫、東国への広がりなど、縄文時代から倭の五王までの著者の研究成果を通史の形で俯瞰しながら、それぞれの論点が深堀りされ、レベルは高い。続きは下巻へ。2024/08/21
yamahiko
16
山の辺の道を歩くための予備知識をと思い読みました。論の進め方の安心感はさすが大御所。門外漢ですが楽しめました。2018/10/01
こぽぞう☆
15
上田史学の集大成か。世に出回っている面白古代本を読むのと並行して読むべきだろう。著者がお年を召されているので、後学に託す意味もあるのか、未消化部分も多く載せられている。これまた、お年のせいか、所々日本語がおかしい。2016/01/28
白義
14
うーむ、絶対に面白いことばかり書いてあると確信できるのに、この分野の初心者過ぎて難しさばかり記憶に残る、というタイプの哀しい読書。学会の重鎮が自分の研究成果を通史の形で入門的に集大成してまとめたというはずの本だが、通史を描きながら著者の気になる論点をその都度深堀り学術書チックな探求を挟むせいで、読むこちら側がついてこれないんですよ。記紀神話の違いからどういう系統の神話が日本神話に混じったか、とか僅かな出土物から当時の勢力図を構想する、みたいな話は多いが、基本的には文献史学の人なのも初心者には向かない原因か2020/12/14