内容説明
ビートルズを愛した少年の60年代青春小説
〈小学六年の正月に、亮二はお年玉でポータブル電蓄を手に入れた。三千円であった。その電蓄を買って一か月も経たないうちにビートルズが日本でレコード・デビューをしたのである。ビートルズはそれまで亮二が聴いていたポピュラー音楽とは、全く異なったものであった。それからの亮二の小遣いは、その殆どがビートルズに費やされることになったのである。……発売されるビートルズのシングル・レコードは、すべて買った。LPレコードを買うために、昼食のパン代もためるようになった。いまの調子でいけば、二学期に入ってすぐにLPが一枚買えるはずである〉
――1963年から70年代まで、少年は中学高校と成長していく。淡い恋、性への憧れ、そして音楽。ジョンやポールがとても大切だったのと同じように、愛する恋人を抱きしめて彼は時代を駆け抜ける。
エヴァーグリーンな青春小説の名作が甦る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
54
松村さん初読み。私より一回り上の世代の青春物語。子供から大人になる時、自分が周りを見る目が少し変わってしまう。物事を素直に受け取れず、大人ってズルイ!!とか無性に腹立たしく思う・・・それが子供から大人への心の脱皮の時の症状なのかな。男の子心の波立つ雰囲気・・・。思春期の息子を持つ母としては何食わぬ顔をしながらもそっと見守り無事脱皮を終えてイッチョマエな大人になってほしいなぁとも思った。同じ人間でもやはり男と女は違う生き物。ビートルズの曲が耳を掠めながら物語は進んでいく。久々に青春を見た気もした。2012/12/08
ミスターテリ―(飛雲)
28
若い頃ビートルズの曲に触れた人に読んでほしい作品で、1963年日本でレコードデビューした年に小学6年だった主人公、ビートルズの曲は生活のすべてになった。そして高校3年の1966年の日本講演を体感して子供時代と別れを告げる。大学生になりビートルズを目標にバンドを組んだが、現実はなぜかうまくいかず苦悩する。まわりも自分も若い頃と変わってきているのに気づき、そして1970年ポールが脱退、ビートルズの解散と共に大人への旅立ちを実感する。しかし青春時代をいっぱい詰め込んだビートルズの曲は永遠の思い出となる。 2020/10/05
ShogoHirara
2
実に素晴らしい小説。時代は違ってもそこにはみんなの忘れ物がある。生き方っていうのは年輪だけじゃなくて、その時その時の意志なんだな〜と思わせてくれる。でもちょっとモテ過ぎ?ロックスターだもんね。2013/03/11
ken_sakura
1
○とても良かった。気持ちの良い真っ直ぐな青春小説。薦めて頂いたおもしろ本棚の先生に感謝。2013/11/04
CEJZ_
0
1P16行。わたしが初めて洋楽音楽雑誌「ロッキング・オン」を買ったのは、1988年9月号だ。当時は定価320円だったと思う。そこにも松村雄策のレビューはあり、そのもっと前から、そして現在も原稿やレビューが掲載されている。この松村氏の小説は存在は知っていて、いつか読んでみたいと思っていた。苺畑といったらストロベリー・フィールズというわけで、それはもうビートルズなわけで。章ごとに一年の歳月が流れ主人公は成長していく。哀しみがまさるような。解説は仲井戸麗市だが、正しい読みは「れいち」である。2016/07/25
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