風の陣【裂心篇】

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風の陣【裂心篇】

  • 著者名:高橋克彦
  • 価格 ¥789(本体¥718)
  • PHP研究所(2012/11発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569678832
  • NDC分類:913.6

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内容説明

称徳帝が没し光仁天皇の御世になって8年、物語の舞台は陸奥に移る。平城の都で働く道嶋嶋足に対し、伊治鮮麻呂は陸奥の地で、蝦夷でありながら国府多賀城の役人として蝦夷の乱の鎮圧にあたっていた。祖国を戦場にしないため、朝廷と蝦夷の共存を目指し腐心してきた鮮麻呂だったが、8世紀半ばに発見された黄金を狙う陸奥守の横暴、背後で牙を剥く朝廷側の無理難題に我慢は限界に達していた。さらに、蝦夷の地である奥六郡に城を築く計画が着々と進み、また蝦夷を人と思わない帝の勅に、鮮麻呂はもはや戦を防ぐ手立てはないと決起を覚悟する。後事を託すのは胆沢の首長・阿久斗とその息子・阿弖流為(アテルイ)。狙うは陸奥守の首ひとつ。ついにその時はやって来た。北辺の部族の誇りをかけた闘いが、ここに幕を下ろす。「風の陣」シリーズ、感動の最終巻。『火怨』『炎立つ』へと連なる著者渾身の大河歴史ロマン、堂々完結! 解説はマンガ家の里中満智子氏。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

レアル

61
智略、策略で蝦夷を救う道を模索した天鈴や嶋足が主人公で奈良の都が主な舞台だったこのシリーズも、この最終巻へきて、我慢に我慢を重ねた蝦夷たちが決起する!といった行動的かつ主人公も鮮麻呂で舞台も陸奥へと一変した事に驚く。そして物語は次の『火怨』に続くべく物語の登場人物らしき者達もちらほらと登場しているように思える。悲しい結末ではあったが鮮麻呂の蝦夷への誇りは成し遂げられた。その鮮麻呂の思いがどう引き継がれるのか。『火怨』が楽しみ。2018/05/31

財布にジャック

59
あざまろさま~っ!と叫びたくなる完結編でした。風の陣の主役は嶋足や天鈴だとずっと勘違いしたままこの最終巻に突入して、ここでやっと気づきました。鮮麻呂様が蝦夷代表の第一走者だったのですね。前半は我慢に我慢を重ねる展開なので、なんだか煮えきらない鮮麻呂にいらいらもしましたが、最後の100ページは息もつけない程の緊張感でした。そして「風の陣」の題名も、ようやくこの巻にきて意味を持ってきました。今ここにシリーズ4部作を全て読み終えて、全作品を回想し感動に打ち震えている自分がいます。高橋さんありがとうございました。2012/11/08

gonta19

53
2012/9/20 Amazonより届く。 2014/6/6〜6/13 いよいよ最終巻。鮮麻呂に主役が移り、とうとう蝦夷が決起する。我々が日本史で習う歴史は朝廷側のものであって、虐げられた側の視点はすっかり抜け落ちている。高橋さんは、逆側からの視点で見た歴史を鮮やかに描きだす。本当のところはどうだったのだろうか。物事はやはり両面から見ないといけないことを再確認させてくれる。このシリーズの次の世代の物語にあたる「炎立つ」をもう一度読み直したくなった。2014/06/13

kawa

39
最終巻は舞台を京(奈良)から、東北に移し「宝亀の乱」を被支配者側からの視点で描く。主人公は、東北蝦夷・伊治(これはる)の首長でもあり、陸奥守のもとで官人としての職務も務める鮮麻呂(あざまろ)。権謀の限りを尽くす敵役は、陸奥守・紀弘純(きのひろずみ)、道嶋大楯(みちしまのおおたて・4巻までの主人公・嶋足の義弟)。この手のドラマは、主人公が悩み苦悶し、ヒールは悪賢いほどに嵌る展開になる。本作はその期待の応える出来栄えで600頁一気読み。後期奈良時代の歴史ドラマを堪能させてもらった。2020/07/16

Haru

17
終始重苦しい気持ちでした。なぜ蝦夷がここまで差別されなければならないのか。日本という統一国家になった現在では、想像出来ない民族対立。と言ってもそれは朝廷側から見た差別で、蝦夷を人と認めない深く根強い偏見は形のない敵で、嶋足、天鈴、鮮麻呂が挑む戦いに終わりはない。ここまで来ても、嶋足や天鈴のやってきたことがまったく無駄だったように思えて、実に憂鬱な気持ちになったけれど、最後に鮮麻呂の起こした風は、やはり彼ら全員の血を吐くような努力の結果吹かせることの出来た風なのだろう思うと、少しだけ気持ちが慰められました。2012/11/25

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