内容説明
政治局委員解任事件以来、国内外でその動向に注目が集まっている薄煕来。毛沢東を彷彿とさせる個人崇拝、4000億円の不正蓄財、妻の殺人容疑など、破天荒な半生をひも解くことで、中国全体に蔓延する危機や腐敗の構造をあぶり出す。
目次
序章 チャイナ・ジャッジ、中国の審判
第1章 男の生い立ち、不倫婚
第2章 大連時代
第3章 1999年
第4章 遼寧省時代
第5章 商務部時代―運命の分岐点
第6章 重慶時代
第7章 チャイナ・ジャッジ
終章 世界を覆うチャイナ・マネー―裸官と投資移民
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
北本 亜嵐
22
失脚した薄熙来には常に父・薄一波の後ろ盾があった。自分の息子を国家の指導者にするためにはどんな手段もいとわない父。息子も無実の罪で多くの人を陥れたり、自らの欲を満たしていく。その父が死んだ時から彼の転落が始まったと言ってもいいかも知れない。表紙の彼の視線の先に映るものは何だったのだろうか?かつての栄光or全てを失った喪失感なのか…実録とはいえ、小説のようなスピード感に圧倒されて1日で読了。薄熙来の悪さに脱帽。2015/11/08
ふぇるけん
9
薄熙来の台頭と失脚の経緯を中心に、中国の政治思想を『チャイナ・ジャッジ』という切り口で語った一冊。自らの権力欲をここまで露骨なかたちで体現した薄一家の興亡はまるでドラマのよう。近代化・民主化路線と太子党を始めとした現状維持派の駆け引き、不正蓄財にマネー・ロンダリングとさまざまな矛盾を抱えた現在の共産党がどのように国を運営していくのか、今後を見据える上で大いに参考になった。2014/06/13
きっしょう
4
中国指導層の権力争いの実態がノンフィクションとは思えないくらいの迫力で面白く読めた。(面白いと言っている場合ではないような気もするが) また、アメリカ、イギリスなどの名門大学に中国上層部の子供たちが大量に留学していたり、チャイナ・マネーによる世界制覇などに言及する終章は、 中国の動向を見極める際のひとつの大事な視点を示唆していて興味深い。2013/05/12
ロッシ
4
中国では、政治と司法は同じ権力者の手元にある。つまり、権力者がその気になれば、いつでも独裁者になれるということである。2013/04/16
Makoto61
3
中国の中での権力争いが少しかもしれないが、良く感じ取れた面白い本でした。2014/01/29