内容説明
鎌倉時代の半ば、玄界灘に浮かぶ壱岐島で、幼なじみの二郎と宗三郎は、浜に流れ着いた一人の少女を発見する。少女の名は麗花。母国の高麗を追われ、親を失っていた。三人は島で兄妹のように育つが、やがて蒙古の大軍が壱岐を襲い、過酷な運命に巻き込まれてゆく。何のために生き、誰のために戦うのか─。元寇という巨大な時代の嵐に立ち向かう若者たちを描いた、魂を揺さぶる歴史大長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
46
高麗の内乱から逃れてきた少女を助けた壱岐の2人の少年。やがて成長した彼らは時代の波が襲う。対馬壱岐の人々を虫けらのように殺し、奪い尽くす蒙古高麗軍の残忍さ。作者が30歳にならない頃の作品とは思えない。読みやすさとスケールが両立されている。下巻が楽しみです。2015/09/05
けやき
31
天野純希さんの元寇のお話。未曾有の大難の蒙古襲来。壱岐で起きた悲劇がちゃんと描かれてます。いつの世も日本の政府の対応は後手後手にまわるのね。二郎、宗三郎、麗花の青春劇のような側面も。三人の今後をハラハラしながら下巻にGo!2020/05/01
スー
19
132壱岐に住む商人の子の二郎と武士の養子の宗三郎そして二人に救われた高麗から漂着した少女の麗花の3人が元寇で家族や仲間を失いながらもそれぞれの道を懸命に生きていく物語。壱岐は対馬同様に少数の武士が蒙古に立ち向かうが多勢に無勢で壊滅し島は阿鼻叫喚の地獄絵図の様になる。最近対馬での惨状は有名になりましたが壱岐も同じ状態で壱岐の武士達は戦いながら後退して時間稼ぎをして籠城して援軍を待つも現れず敗北した。九州武士団を纏める為に捨て石にされた2島は次の弘安の役をどう耐え3人はどんな結末を迎えるのか?楽しみです2020/09/29
takahiko
15
時代小説だが、元寇という混沌に巻き込まれた男女3人の青春物語。蒙古軍の襲撃により多くの人々が犠牲になる場面は、読んでいて辛かったですが、それぞれの再開を信じていざ下巻へ。2013/08/16
TheWho
12
鎌倉元寇期の文永の役前夜、壱岐に流れ着いた高麗遺臣の娘と御家人の息子、絵描きを志す富裕商人の息子三人の主人公が、壱岐で遭遇する凄惨な文永の役の惨禍に巻き込まれながら時代の渦に立ち向かう海洋歴史絵巻。元寇と云うキワードで購入した一冊。白石一郎や北方謙三、海音寺潮五郎を彷彿とする海を題材とした稀有な物語であった。上巻は、文永の役で壊滅した壱岐島の惨禍から、主人公らの各々の生き様に焦点が絞られている。弘安の役が語られる下巻が楽しみです。2017/05/25