内容説明
展覧会を企画・運営して作り上げるプロフェッショナルであるキュレーター。1950年代から現在まで、日本で企画された数々の展覧会を紹介しながらこれまでの歩みを振り返り、日本独自の文脈から生まれた「学芸員」の時代からグローバルで今日的な「キュレーター」の時代へという変遷を追う。キュレーターの現状を紹介して今後のあるべき姿も言及し、時代の新たな価値観を創造するキュレーターの魅力を明らかにする。
目次
はじめに
第1章 日本における「学芸員」の守備範囲
「学芸員」と「キュレーター」
博物館法による「学芸員」の定義とその実務
常設展と企画展を実施する美術館での学芸員職
企画展中心の美術館
欧米型の美術館
フリーランス・キュレーターの守備範囲
第2章 日本キュレーター前史――「学芸員」のはじまり/黎明期:一九五〇年代
戦後の復興と博物館法の制定
日本における美術館の設立
新しい美術館像としてのニューヨーク近代美術館
神奈川県立近代美術館の誕生
国立近代美術館の開館
美術家主導のグループによる展覧会
デパートと新聞社による展覧会
一九五〇年代の美術雑誌
第3章 「学芸員」から「キュレーター」へ――転換期:一九六〇―八〇年代
美術表現の多様化と企画者の役割の変遷
東京都美術館の変遷
地方公立美術館の台頭
国際交流基金と日本人キュレーターの国際化
貸画廊とオルタナティヴ・スペースの時代
草月アートセンター
佐賀町エキジビット・スペースと東高現代美術館
ICAナゴヤ
進化するデパート美術館
第4章 「キュレーターの時代」――発展期:一九九〇年代
グローバル化と日本における「キュレーター」の台頭
現代美術専門の美術館の登場
東京都現代美術館の開館
多文化主義と「他者」の表象
日本におけるアジアの表象
フリーランス・キュレーターの台頭とキュレーターの役割の変化
日本におけるアーティスト・ラン・スペースとアート・プロジェクトの興隆
日本の「キュレーター」事情
キュレーターの時代
第5章 これからのキュレーター像
二十一世紀に入ってからのキュレーションの方向性
開かれた美術館
森美術館
金沢21世紀美術館
街中へ開かれる美術館
ゲスト・キュレーターによる展覧会
美術館での若手作家の展覧会
アーティスト/キュレーターの登場
共同キュレーション、双方向性キュレーションの試み
美術館展覧会の差別化と領域横断化
日本におけるキュレーターの現在
これからのキュレーター像
東京ビエンナーレとその時代――中原佑介インタビュー
「それが初めてなんですよ、国際展を一人でやったのは」
「「キュレーター」なんていう言葉、当時はなかった」
「学芸員があんまり展覧会を見ないんだよ」
「いちばん広い面積を使ったのはクリストだね」
「我が同僚の批評家たちが、みんな、困ったみたいだよ」
キュレートリアルな出来事の年表1951-2011
おわりに
感想・レビュー
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メルセ・ひすい
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st