光文社古典新訳文庫<br> 悪霊 〈3〉

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光文社古典新訳文庫
悪霊 〈3〉

  • 著者名:ドストエフスキー/亀山郁夫
  • 価格 ¥1,144(本体¥1,040)
  • 光文社(2013/12発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334752422

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内容説明

街はいよいよ狂乱に向かって突っ走りはじめた。まずは県知事夫人ユーリヤの肝いりによる「慈善パーティ」で、何かが起こる気配。その背後では着々と陰謀が進行し、「五人組」の活動も風雲急を告げる。ワルワーラ夫人とステパン・ヴェルホヴェンスキー氏、スタヴローギンとリーザの「愛」の行方は? 生き残るのは誰か? 愛と悪、崩壊と再生のクライマックス。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

105
最終巻に来て、物語は急展開を見せ、クライマックスとして読ませます。今までの曖昧な展開は何だったのだろうと思わされます。狂乱に向かい、走り始めた街。慈善パーティーで起きそうな謎。陰謀が進行する中で誰が生き残るのか。対立する思想、精神的絶頂を求める慈しみ、登場人物たちの崩壊などの様々な顔と本能的な悪の同居。これらの全ての恐ろしさに引き込まれずにはいられませんでした。狂っていて破壊的だけれど面白かったです。2016/11/23

榊原 香織

64
実際の事件が元、とのことだけれど、何でこうどうしようもなくなっていくのか。 主人公スタヴローギンのモデルの一人は無政府主義者バクーニンらしい。 コケにされた文学者のモデルはなんとツルゲーネフ。個人攻撃だな2023/04/21

星落秋風五丈原

64
2巻でありがたい助言を貰っておきながら、戻れない道を突き進むスタヴローギン。レビャートキン大尉の執拗な手紙に悩まされてきたリーザの懇願にまけて明言する。「不幸にしてこの男とは縁戚関係にある。この男の妹で旧姓をレビャートキナという女性の夫になって5年になる。」本作で頻繁に顔を出すロシア批判を交えつつ、市長夫人の催したパーティが悲惨な結果に終わる様へとなだれ込む。パーティで朗読を頼まれたのに、自分の恋バナを延々とやってブーイング浴びる作家カルマジーノフのモデルはツルゲーネフだそうだ。 2022/10/28

たかしくん。

57
奇怪な行動な続く登場人物たちが軒並み死んでゆく、全くもって救われないストーリー展開。中身が薄っぺらな撹乱者ピョートルが悪霊の仕掛人であることは間違いないですが、最後までその正体がつかめず不敵な結末を迎えるニコライは、悪霊の真打ちというべきでしょう。数少ない癒し系のステバン氏のラストが、精々救われるところかもです。やはりドストエフスキー最高の問題作であり、しかも後のソ連のスパイ密告社会を予言するかののような、良い意味で後味の悪い作品でした。また、「告白」を当初の順番に加えたこの編集はナイスでした!2016/01/31

市太郎

53
悪霊がとりつき、崖から湖になだれこみ溺れ死ぬがごとく破滅していく人々。集団ヒステリー、疑心暗鬼の末の醜態、盲目、殺人、自殺、幼稚な思想、ペテン師の卑劣な行い。狂気そのもの。自分の運命も知らず、新しく生まれてくる他人の生命と愛する人の為に律動する姿は、エネルギーに溢れ美しい。そして「この子は僕の子だ」と叫ぶ。陰惨な事件の裏でドストエフスキーの「美は世界を救う」という想いが垣間見える。「人生の一分一分、一刻一刻が人間にとって至福の時でなくちゃならない・・・」「だれも責めてはならない、ぼく、自身だ」破滅と救済。2013/11/11

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