内容説明
臨床犯罪学者・火村英生と推理作家・有栖川有栖のかけあいが楽しい「作家アリス」シリーズの短篇集。「とっておきの探偵にきわめつけの謎を」──火村英生のもとにprof. Rを名乗る者から送られてきた犯罪予告めいたファックス。トリックの小さな綻びから犯罪が露呈する表題作ほか、過去の影におびえる男の哀しさが余韻を残す「長い影」、殺された男の側にいた鸚鵡(おうむ)が真実を暴く「鸚鵡返し」など、ごく短い掌篇から短篇まで珠玉の作品が並ぶ1冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
129
作家アリス18作目は短編集。10頁から70頁と寄せ集め的8篇ながら、結構な仕掛けや綺麗に連なるロジック披露するのはお見事!相変わらず自他ともに認める道化に徹するアリスの魅力満載(笑)少々やっつけ偶然を感じながらも、限られたボリューム内で本格ミステリを完結させるのは鮮やか♬最も印象に残ったのはやはり表題作!警察にアリスに火村そして事件と全く絡み合わない4つの視点が何気ない2人の会話から溶解していくのが絶品!「殺意と善意の顛末」での何ともマヌケな失態に続いてされた謎解きに思わず「ホーっ」と感嘆できるのもいい!2022/08/30
gonta19
127
2011/6/10 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。 2023/10/2〜10/4 2年半ぶりの有栖川作品。オール読物と携帯サイトJ-ミステリ倶楽部に掲載された色々なパターンのシチュエーションのショートショートや中短編。最初の「長い影」が一番かな。2023/10/04
ダリヤ
125
ひさしぶりの有栖川さんと火村さん。短編集なのでほどよい濃度でさまざまな角度からの事件が解き明かされてとても読みやすく、おもしろかった。やっぱり火村さんがかっこいい。2015/03/31
純
111
ドラマが面白いので、原作を読んでみたくなった。短編集で、謎解きがたくさん読めたのが良かった。次は短編集ではなく、長編を読んでみたい!2016/02/06
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
101
ミステリーで「大学教授」というと今では湯川先生が有名になってしまったけど、近くドラマ化されるという火村先生も負けてませんよ。一般人が警察の捜査に協力なんていう嘘くさい設定も、「犯罪社会学の教授にして、臨床犯罪学者」なんていうと返って本当のように思えてくる。短編なので、どうしてもいきなりの謎解きになってしまうのは致し方ない。冒頭の「長い影」のアリバイ崩しとトリックはミステリーの教科書に載ってそうな典型的な感じですが、安心安定のシリーズ物。超短編があるなと思ったら携帯サイトの作品でした。なるほどね。★★★2015/08/28