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内容説明
デカルト、カント、ヘーゲルなど、近代に活躍した哲学者は枚挙に暇がない。だが、この時代の哲学では何が問題だったのだろうか。「私」の発見や知識の確実性、道徳の起源など、さまざまな議論が重層的に連なる西洋近代哲学。この沃野を一望して、本質をつかむのは容易ではないが、そのための最良の手がかりは哲学者の残した書物にあるのだろう。本書では、24篇の古典の論点を丁寧に整理し、近代哲学の全体を展望する。
目次
1 「私」への問い(デカルト『方法序説』
バークリ『人知原理論』 ほか)
2 知識の生成論へ(ロック『人間知性論』
ライプニッツ『人間知性新論』 ほか)
3 多様性の存在論(クザーヌス『知ある無知』
ライプニッツ『形而上学叙説』 ほか)
4 近代と形而上学(デカルト『省察』
スピノザ『エチカ』 ほか)
5 共同性の倫理学(ルソー『言語起源論』
スミス『道徳感情論』 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
13
読みきったことで満足・・・してはいかんのだろうなあ(入門書なのだから)。小さな疑問から時代に残る名著を編み出すという姿勢に憧れる。哲学もそうだけど哲学者そのものにも惹かれる。追い求め、煩悶する純粋さ。2012/04/30
tolucky1962
12
近代哲学の名著24冊を、「私」への問い、知識の生成論へ、多様性の存在論、近代と形而上学、共同性の倫理学の5章に分類し各5冊(1冊重複)、それぞれ10ページでエッセンスを紹介。重要な哲学者の著が選択されて、何が問題にされているかを把握できる。付録の関連年表もあり基本的全体像を知るのに適している。とはいえ、それぞれ奥が深いので詳細は個別の書にあたる必要がある。2018/01/06
吟遊
9
近代の24冊を取り上げ、それぞれに別の著者がつき(若手の研究者が多いのかな?)、その一冊のエッセンスを紹介する。ひとつのトピックに10ページ程度しかないので、取り上げられるのはひとつの問題(意識)である。本の要約ではない。(それは無理だよね。)著者によってばらつきはあるが、マイモンやフォイエルバッハ、コンディヤックといった名前は知っていても著作までは読んでいない思想家たちについて知ることができたのはうれしい。2016/12/08
はすのこ
9
良書。何より面白い。フォイエルバッハについて勉強したいなぁと私は感じた。2016/03/13
amanon
8
この本を読んでいて、今更ながらに自分が哲学科院卒という経歴が心底恥ずかしくなった。「俺は一体哲学科の院で何を学んできたのだろう?」と。それはともかくとして、一通り哲学史を学んだ後で、もう一歩踏み込んでおさらいするためにうってつけの一冊だと思う。とにかく一冊の哲学書につき、十頁強のヴォリュームというのがちょうどよくて、かなり突っ込んだ内容ではあるけれど、結構さくさく読み進めることができる。また、他の人も述べているとおり、この本を足がかりにして、ここで取り上げられている哲学書に挑戦すべき。概ね良書といえる。2018/07/27