細雪(下)

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細雪(下)

  • 著者名:谷崎潤一郎【著】
  • 価格 ¥781(本体¥710)
  • 新潮社(2013/08発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784101005140

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内容説明

昭和十六年、三十五歳になった雪子は、やっと貴族出の男との縁談がまとまり、結婚式に上京する。他方、バーテンと同棲した妙子は子供を死産してしまい、明暗二様の対比のうちに物語が終る。『源氏物語』の現代語訳をなしとげた著者が、現代の上方文化のなかにその伝統を再現しようと、戦争中の言論統制によって雑誌掲載を禁止されながらも、えいえいとして書き続けた記念碑的大作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

416
終曲は華やかさと寂しさとが渾然とした見事なもの。しかも、華やかさもまた、その背後には一抹の寂しさを隠し持つといった、何重にも織り成された「かさね」のような趣き。これまで一貫して蒔岡家の次女、幸子の視点で語られてきたために、このあたりまで読み進めてくると、読者の視点も彼女に寄り添ってくるようだ。したがって、妙子の行状はさすがに目に余るし、また、雪子には歯がゆい思いを禁じえない。男の読者であってもそうだ。一面、ここに描かれる女たちは、それぞれにしたたかでもある。一方の上方男たちは、なんだか不甲斐ないのだが。2014/03/29

yoshida

243
日本文学の記念碑的な傑作である。本作は大東亜戦争の最中である昭和17年から執筆され、敗戦後の昭和23年に完結する。戦中の言論統制にも屈せずに、失われてゆく日本的な美しさ、戦前の日本の日常を伝えている。蒔岡家の三女の雪子が公家を出自とする御牧と、これ以上ない良縁に恵まれながら、四女の妙子はバーテンの三好との子が死産となる。非情なコントラスト。そして雪子が結婚した昭和16年に日本は対米戦争に突入する。この後の蒔岡家はどうなったのか。今は失われた戦前の日本。この作品を読む度に私達は新しい発見をするだろう。傑作。2016/09/27

黒瀬

158
昭和16年、戦禍の足音が聞こえてくる中、35歳となった三女・雪子の縁談がとうとう纏まり、ようやく幸子らの肩の荷が下りたと思えば四女・妙子に妊娠の兆候が表れ、二人と蒔岡家の行く末は―という場面で物語は終了。 雪子の最後の様子を見る限りでは、やはり蒔岡の家、何より姉妹たちと離れたくなかったように思えてならない。自由奔放で自分の食い扶持を稼ぐだけの力を持ち、姉や義兄らを散々振り回した妙子も時代が許してくれなかった生き方なのだと思うと遣る瀬無い。本編後の戦争を四姉妹はどのように生き、或いは死んでいったのだろうか。2019/11/24

Nobu A

151
谷崎潤一郎著書4冊目。47年刊行。上中下巻で千頁超。決してグイグイ読ませるエンターテイメント性が高い作品ではないが、当時の日本、つまり戦中及び後の状況や1983年に起きた阪神大水害が克明に描写され、その中で大阪の旧家の四姉妹の見合いを中心に綴られている点に作家の凄みを感じる。徐々に没落していく様に寂寥感が漂う。単純に好きとは言えないが、文学作品として心して読んでみたと言った方が的を射た表現かも。後半認知資源が枯渇しかけ、やや流し読み読了。もっと短い「卍」や「痴人の愛」等、他著を読んでみたい。2025/05/11

雪風のねこ@(=´ω`=)

147
綺麗で精錬で楚々とした文章は、読んでいると何とも言えない気持ちになる。蛍狩のシーンも幻想的で素晴らしい。その文章で綴られてゆく雪子は、急な文明開化と西欧化の波に揉まれバランスを崩してゆく日本を、重ね合せて描かれている様にも感じた。縁談が纏まってホッとする一方、妙子の有様が対照的過ぎて痛々しい。けれどもそれは自分勝手にし過ぎた罰であり、ある意味慈悲であった様にも感じる。この後、蒔岡家の運命はどうなっていくのであろうか。戦中を生き延びたのなら、御牧の建築設計が大いに活きるのだけれども。祈る他有るまい。2016/10/03

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