内容説明
戦国時代に終止符を打った家康が師と仰いだのは「地味な超人」毛利元就だった。人質時代から関ヶ原の戦いまでの苦難の軌跡をさまざまな角度から検証する。
目次
第1章 「不倒翁」毛利元就に学んだもの
第2章 「戦国の常識」から見た「人質時代」
第3章 「武」でかちとった三河統一
第4章 今川義元から学んだ「法治主義」
第5章 「経済人」家康が見抜いた“関八州”の価値
第6章 「貞永式目」的法治の再興
第7章 秀吉死後の政情不安
第8章 アンチ家康“空気”の醸成
第9章 「実戦経験者」家康と「官僚」三成
第10章 「関ヶ原」と輝元の“平和ぼけ”
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かつ
0
徳川家康と法治についての視点は白眉。平和創造者としての家康を論じている際の冷徹な視点はさすが山本氏。2015/02/13
ひっし~
0
高校だったか大学だったかの頃、初めて読んだ山本さんがコレ。当時はハードカバーだったけど、文庫版で出てたのを見つけて再読。 上巻は、生い立ちから「関ヶ原」後の毛利家処分まで・・・と、イントロダクションとして毛利元就の生涯。“変化球”から入るのは山本さんの得意技なのですが、初めて読んだときには斬新でした。 書かれた当時の歴史認識がベースなので、今読むと若干の違和感があるかもしれませんが、大勢には影響なく、独特の視点からの論述も非常に新鮮です。 一読の価値ありと思います。2012/08/08
cybertiger
0
長らく積読状態だった本に挑戦。評伝である。毛利元就との比較、法を重んじた統治、小田原北条氏討伐後の転封にあたって関八州の可能性を見抜き江戸に城を築いた慧眼。秀吉の死後、石田三成、安国寺恵瓊の謀略、毛利輝元、吉川広家、毛利秀元の思惑が交錯し関ケ原の戦いへなだれ込む。その局面で見せる家康の辣腕と腹の据わり方。上巻は関ケ原の戦いの戦後処理で終わる。三成、恵瓊の謀略の限界、輝元、広家の状況認識の甘さを指摘し、家康“狸親爺説”に一石を投じる。関ケ原の下りは読み手に予備知識を求めるが、 なかなかの名著である。2023/05/20