エクス・リブリス・クラシックス<br> パリ 下

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エクス・リブリス・クラシックス
パリ 下

  • 著者名:エミール・ゾラ【著】/竹中のぞみ【訳】
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 白水社(2013/10発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 720pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784560099032

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内容説明

政治は腐敗、ブルジョワが隆盛を極め、労働者は貧困に喘ぐ19世紀末パリ。建設中のサクレ・クール寺院が見下ろす悪徳と矛盾の町で、信仰を失い魂を彷徨わせる一人の神父がいた――。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

35
下巻は、ブーローニュの森にサルヴァを追う警察がやって来る所から始まる。新興ブルジョアジー代表のデュヴィヤール男爵家は、モンフェランら政治家を除けばヒエラルキーのトップに立つ。しかし、金持ちであっても決して幸せではない、というゾラのブルジョアジー観が反映された一家になっている。娘カミーユは、母エヴの愛人ジェラールと結婚すると宣言。エヴは悲嘆にくれる。一方、男爵にも愛人の女優シルヴィアーヌがいた。エヴの息子イヴサントはド・アルト大公夫人に迫られながらも、本気で女性と恋に落ちる気がなさそうだ。2022/04/11

kthyk

17
相対的で未完の近代がその内容、ゾラはどこまでもリアルでナチュラル、近代自然主義の方法に多いに満足している。「読メ」参加当時のカフカの「城」に昨日「いいね」をいただき読み返してみたが、カフカとゾラは方法は全く違うが内容は同じではないだろうか。どちらも「未完・不在・不正義・不条理な近代」を描く。南に大都市パリが広がるモンマルトルの丘での、信仰を失ったピエールと、近代技術への期待と不安にかられるギョーム。内容は二人には欠かせない人間の持つ正義と幸福。ルルド、ローマと続いたフロマン神父の物語は「パリ」で完結する。2022/09/21

ラウリスタ~

15
自暴自棄になった兄貴が、建設中のサクレ=クール寺院(カトリックと共和制の悪しき癒着の産物)の地下に新型爆弾を設置、追い詰めた弟は「まず俺を殺してからいけ!」。殴っちゃった兄ちゃん我に返る。せやから爆弾じゃなくて、自動車作りましょうね。兄ちゃんの恋人は弟の物に、若いから仕方ないね。ルーゴン=マッカール叢書では毎回派手に爆発していたパリだが、今回は(もう共和制だし革命してもなあ)テロの無益さに気がつき、ノーベルさんみたいに「爆弾から原動機へ」とギリギリで舵を切る。さあこれからパリが世界を征服するぜな植民地主義2018/02/06

きりぱい

7
百年前のパリ。信仰を失って苦悩する神父ピエールは、爆発事件によって化学者の兄ギョームとの絆を取り戻す。貧困層の窮状からブルジョア層の苦渋まで、あらゆる問題がごちゃまぜの醸造桶に見立てたられたパリで、癒し合いながら新たな苦悩を生んでしまうむせるように美しい兄弟愛が何とも・・。宗教に代わる科学の進歩を見据え、「人類は前進している」とゾラは書いたのに、慈善のきりのなさ、テロ行為という正義の矛盾、改革が果せない政界は百年経った今でも相変わらずなのだった。最大の不幸という言葉を沈痛の思いでいなすくだりが心に残る。2011/01/10

はる

4
化学者ギョームの爆薬が一人の労働者に盗み出された。爆弾は金融ブルジョアの玄関を破壊し、帽子を届けに来た少女一人が犠牲になった。当時のパリはこのような不穏な街だった。政府の収賄事件も発生していた。パリは貧富差に引き裂かれ、宗教はこれを助けていた。 主人公ピエールと貧者への施しに一生を終えるローズ神父の会話。貧者救済の限界に苦悩するピエールと科学が社会を改善すると思う兄ギョームの会話。社会変革を夢想する者たちが礎にするフーリエの夢想的共産主義やプルードンの無政府主義の不明瞭な会話の応酬などが印象的だった。2021/04/08

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