エクス・リブリス・クラシックス<br> パリ 上

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エクス・リブリス・クラシックス
パリ 上

  • ISBN:9784560099025

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内容説明

政治は腐敗、ブルジョワが隆盛を極め、労働者は貧困に喘ぐ19世紀末パリ。建設中のサクレ・クール寺院が見下ろす悪徳と矛盾の町で、信仰を失い魂を彷徨わせる一人の神父がいた――。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

32
ゾラが書き綴ったルーゴン・マッカールのその後の時代を描く三都市双書『ルルド』『ローマ』に続く第三巻。二つの都市を巡った主人公ピエール・フロマンは結局パリに戻ってくる。しかしパリで慈善に精を出しても、結局貧しい者と富める者の差はなくならない。ナポレオンの帝政が倒れ、民衆による政治が行われることで、以前の欠点は全てなくなるはずであったが、そうならないのが社会というものだ。結局デュヴィヤール男爵をはじめとする新興ブルジョアジーが幅をきかせ社会保障の部分はキリスト教や篤志家の慈善に頼るしかない。2022/04/09

kthyk

15
「音楽や建築」を創るという観点では、19世紀末は一つのカタストロフ、近代へのシフトチェンジであると認識していた。しかし、上巻で体験したゾラのパリはまさにモダニズム、現在の我々と殆ど変わることのない腐敗のなかにあるようだ。恋と金だけが謳歌され、格差と分断的政治不信ばかりの日常生活。かっての宗教や道徳は力を失い、教養と理性も消え、無政府主義的混乱の中をあらゆる階層人々がただただ彷徨い泳いでいる現代都市パリ。2022/09/14

ラウリスタ~

15
ルーゴン=マッカール叢書の後、三都市叢書の一つ『パリ』。なんだけど、正直言って小説としての面白さはすこぶる低い。海のように見えるパリとか、貧困層の泥まみれの悲惨とか、これまでの小説で書いてきたことの自己模倣が多い。登場人物が多すぎて、でもステレオタイプばかりで、皮相的な人物描写に終始する。共和制フランス、カトリックは新精神の名の下に王権支持を諦め、時の権力に近づく。信仰を失った神父フロランは、貧民を救うために堕落したブルジョワの家々を周り、その最中、兄が関与した爆弾テロに遭遇。政治モノで文学的価値に疑問符2018/01/28

はる

6
社会を苦悩から救う神父の道をとった弟ピエールと新たな社会を造ると科学の道を選んだ兄ギョームの葛藤と苦悩が描かれている。ボレスワフ・プルスの「人形」主人公が憧れたパリは内実は上流階級の奢侈な放恣佚楽でみたされていた。パリコミューンでの恩赦からパリに戻った不穏な人相、普仏戦争から巨万の富を手中にし資本家たちと没落して行く貴族が第三共和制を支えていた。アフリカ分割植民化の最中で大きな金が動き秘密裏の収賄がありパリそのものが分断されている2021/03/31

のうみそしる

2
無政府主義者っておそろしいね。2016/04/26

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