出版社内容情報
静まり返った夜明け前の湖のほとり。と一瞬さざ波が立ち、すべてが動きだす。コールデコット賞受賞作家が、時の推移と音の世界を絵で再現した美しい絵本。
<読んであげるなら>4才から
<自分で読むなら>小学低学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
262
夜が更けると音がなくなる。月が雲に隠れ、空はかすかに沈み、山は黒く静けさが深まる。そよ風を感じると湖面が揺れる。光が射し、さざ波を照らす。空を見上げると月が顔を出している。…夜はいつか明けるはず。まだ闇が続いている。みんな眠っている。いつもより長く感じる。私になにかあったのだろうか。今日は雨が降っていないというのに。…夜が明けて目の前に広がる世界には色が戻る。山は緑色になり湖面を彩る。太陽は私の背中を押してくれるのだろうか。…明日も夜は来る。私は何を考えるのだろうか。靄に霞む。夜を迎えるのが怖い日もある。2021/08/15
Willie the Wildcat
225
次男は読後「静かな感じ・・・。」とのこと。どこか不思議な感じなんだろうなぁ。時間を置いてまた一緒に読んでみよう・・・。感じるのは、爽やかさと共に生きる活力、かな。朝がくることで自然の命を感じ、よあけが「今日もまた頑張ろうね!」って気持ちを前向きに後押ししてくれてる気がする。文字を読まず絵だけで色々イメージするのも面白い。2012/06/03
zero1
221
読者から高く支持されている絵本。静謐というのは、まさに本書で描かれた世界。老人と孫が出てくるが、セリフは無し。余計な説明も省かれている。必要なのは説明ではなく表現。鮮やかな緑とスケールの大きさが読者を圧倒。本書は国や文化を超えて訴えるエネルギーを持っている。当たり前だが人は自然を創れない。だから我々は受け継いだ自然を破壊することなく次の世代に渡すことが求められる。福島原発事故を起こした日本だからこそ読むべき一冊。生命に溢れた奇跡の惑星を守ろう。作者はポーランドからアメリカに渡った。翻訳は瀬田貞二。2019/01/07
seacalf
199
静寂が沁み込んでくる絵本。立ちこめる暗闇からかすかに夜明けを知らせるさざなみがうまれ、少しずつ少しずつ世界が目覚めはじめていく様子が描かれる。デジタルまみれの生活に慣れて忘れかけているが、夜明けのあの時間帯には太古から続く自然の摂理をダイレクトに感じられる気がする。この感覚は山崎優子さんの『しずかなみずうみ』を読んだ時も強く感じて、舞台となった湖に憧憬の想いを抱いた。そちらもとても心に残る絵本なので気になる方はぜひ。2022/08/31
KAZOO
195
この絵本は静謐な感じを与えてくれる本です。祖父と孫がボートの中で、ということでどこかで見たような既視感があって考えてしまいました。あまり物語らしいものは感じられないのですが絵を見ているだけで生きている、ということを感じさせてくれます。子どもには難しいのでしょうが、ものがたっりをいくつも想像できます。2016/10/11