内容説明
鬼に襲われた、天狗に出くわした、河童を目撃した……ほんの数十年前まで、多くの日本人が、妖怪や幽霊など「もののけ」の存在を信じ、体験や伝説を語り継いできた。もののけたちはどうやって生まれてきたのか。日本の怪談や奇談の数々から民俗学的な視点で、その起源の謎に迫る。日本古来の妖怪や魔物をはじめ、江戸時代の化物、琉球地方や蝦夷地のアイヌに伝わるもののけも多数紹介! 日本人の恐怖の源泉を解き明かす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヤギ郎
17
江戸時代を中心に,その前後の時代も含めた妖怪(もののけ)考察。丁寧に文献を参照している(参考文献表もある)。本書後半では北海道(アイヌ)と沖縄の妖怪の分析もしている。もののけは恐れられるものであったけれど,「特に江戸時代において,多くのもののけたちは,人々に精神的平静をもたらし,ひいては社会の秩序を保っていくための文化的装置なのであった。」(212)。日本のもののけ文化への招待。2018/12/27
calaf
17
良く聞くものから全く初めて知ったものまで、日本の様々な「もののけ」について歴史的背景からその存在意義に迫った本。日本本土のみならず、沖縄(琉球)と蝦夷地(アイヌ)までを含んでいます。正しいかどうかは分からないものの、結構面白い解説でした。2013/10/21
藤月はな(灯れ松明の火)
14
鳥山石苑の百鬼夜行図や百器徒然袋、桃谷山人の絵本百物語から落語などの怪談、水木氏や京極氏の作品まで妖怪がらみのことが参考に書かれていて妖怪本を読むものとしてはニヤニヤしてしまいました^^今まで妖怪本では注目が少なかった沖縄やアイヌ地方の妖怪のことも紹介されており、興味深かったです。しかし、「男性優勢社会は明治以降から日本に広まった」ということを書いた本を読んだことがあるので疑問に思ったので「人間のジェンダーでの優勢はいつ、始まったのか」ということをもっと知る必要がありそうです。2010/10/18
tetuneco
10
女はもののけですか。寝肥(ねぶとり=寝てばかりいて太った女性)にはなりたくないなぁ2011/04/16
Dramaticseimei
5
もののけ、妖怪の類をなぜ発生して、どのように日本文化に落とし込まれ、民衆の間で機能していたのかについてを有名な妖怪をメインに扱いながら読みやすい文章で示してくれている。宗教にしろ、精霊にしろ、妖怪にしろ、あらゆる物事にはそれが発生する所以があり、それが長い時を経て文化にさえもなることを教えてくれる。読み応えがあった。◆手軽に読めるもののけの構造分解書入門として良いと思う。京極夏彦作にも同じようなものがあるが、雲泥の差で読みやすい。京極著はまじで素人を粉砕してくる笑 ★★★2024/01/06