内容説明
徳川慶喜の意向を受け、西郷隆盛と談判、和議をまとめて江戸無血開城への道をつくった山岡鉄舟。清貧をつらぬき、志高く図太く生きた、最後のサムライ。その堂々たる生涯を直木賞作家が描く、渾身の超大作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さと
39
豪放磊落 物事には拘らないが自らを高め濁りない心で生きることには徹頭徹尾こだわり続けた男の一生だった。名誉や富は人に与え、自分に与えられた使命をただ全うすることに全霊を込めた男だった。幕末の話はあまり好んで読まなかったけれど、一人の男の一生を通してその時代の一部が私の中で躍動し始めた感じがする。最期の時を迎え、自分は人生を生き切った といえる人生でありたいとつくづく思った。2024/04/29
紅香
35
『かたつむたり 富士にのぼらば のぼるべし 精神一到 何事かならざん』どんな苦境もおのれの気合いで乗り切った山岡鉄舟。。幕末から明治の波乱を一身に受け……よく生きた!!歴史小説を読むと血が騒ぐ。勝っても負けても精一杯生き、死んでいった生命の波動が気弱な心に脈を打つ。人の一生はこんなにも熱く、儚く、尊い。私もよく生きたい。そして自覚する。宇宙界のなかの地世界の鉄舟たちを始め、守り抜いた、彼らが夢見た未来、日本の国の末席にいることを。2015/08/10
B-Beat
35
◎面白かった。西郷と会うために単身で敵の占領地駿府までの決死行。「これを持ってゆけ」とフランスからの献上品のピストルを授ける徳川慶喜。彼に協力する清水の次郎長親分。維新後の徳川家の行く末を案じて静岡に茨城にまたもや東奔西走。静岡の茶の名産地の由来。そして西郷、勝から10年の期限をもって明治天皇の侍従になることを薦められる。若く世間を知らない明治天皇を国家の元首にすべくマンツーマンのコーチ役。淡々としたエピソードながら描かれる情景は鮮やかで心に響く。新たに歴史上の人物を知り得て大いなる満足感がいっぱい。2014/04/16
はるほのパパ
34
幕末から明治にかけて多くの偉人がいたものです。 幕末はだいたい坂本龍馬くらいしか浮かばないが、まだまだ知らない気骨のある苦労人がいた。 まずは自分の利益優先しがちな今日で人生に喝と猛省を促されているような気になる。 理解不足だった幕末の大政奉還から明治初期あたりまでが随分とスッキリした。 読みやすく理解しやすいお勧めの書です。2016/08/23
Y2K☮
31
江戸城無血開城や戊辰戦争、さらには徳川慶喜の一連の判断をどう捉えるか。内戦が長引いて国が弱体化すれば欧米列強の思うつぼ。しかし錦の御旗を掲げた維新志士が正義で幕府が悪なんてことはなく、守るべきものを守るために戦う覚悟を持たぬのなら、どんなに軍備を充実させたところで外からの侵略には抗えない。攘夷も無謀ではあったが、薩英戦争後にイギリスが薩摩を認めたようになめるなという矜持を見せることに意義はあった気がする。山岡鉄舟に関する史実をもう少し知りたい。あとはやはり西郷隆盛に惹かれる。禅の厳しさにも触れられる一冊。2025/04/28




