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内容説明
日本を代表する偉人・福沢諭吉。しかし、1万円札の人、慶応の創始者、『学問のすゝめ』の著者以外、あまり知られていないのではないだろうか……。武士の家に生まれたにもかかわらず門閥制度を否定し、いち早く英語を身につけ外国へと渡る。自由を尊んだ彼は、日本を近代国家へと導いた立て役者であった。(講談社文庫)
目次
第1章 門閥制度は親の敵でござる(父・福沢百助から学んだこと 長崎での蘭学修業 人生の姉・緒方洪庵)
第2章 「自由」との出会い(「江戸出府を命ず」 咸臨丸太平洋横断 離婚、そして師との別離)
第3章 立国は私なり(仮に慶応義塾と名づく 明治維新 至るところ教場あり)
第4章 『学問のすゝめ』(国民への叱咤激励 文部官僚・九鬼隆一の誕生 「文部卿は三田にあり」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月讀命
56
私達は英語を学ぶ時、教科書や辞書、参考書、リスニングテープなど多くの教材を利用し、更には英会話学校などというモノまで利用したとしても、全く上達しない。しかし、彼は蘭学から英語への転換という回り道をしながらも、辞書さえない時勢に英語を勉強し十分効果をあげた事に驚愕する。そして、西洋の進んだ技術、教養、文化等の多くを取り入れ、人々に啓蒙した事に感服する。日本が、他の亜細亜諸国の様に列強の植民地にならずに済んだのは、彼のリーダーシップのお蔭であったであろう。日本の近代化は、彼の向学心に依るところであり感謝する。2010/11/30
James Hayashi
29
英国ではパブリックスクールの意が「公(社会)」に貢献する人材を輩出する事をモットーにした私立学校とは知らなかった。これが(慶応)義塾の意味するところ。JFKが演説したようなタイトルだが、諭吉の教育への情熱を感じ取れる。「学問のすゝめ」は340万部売れ、国民の10人に1人が読んだという。この時代から日本の教育の高さがうかがえる。蘭学者、緒方洪庵との出会いや西郷どんへの想い、また連綿と続く後輩や弟子たち。近代日本の立役者。下巻へ。2017/12/19
glaciers courtesy
3
少し福沢諭吉を贔屓しすぎじゃないかとも感じるが、まぁ伝記なんてそんなもんだろう、とも思う。しかし、地方自治の問題や国民の教育水準の問題など、まさに現代と同じだな。現代と幕末・明治初期が違うのは、現代は一応「開国されている(他の国と交流がある)」「選挙は行われている」「教育は行われている(みな学校には行っている)」のであって、形式は整っているだけに問題が見えにくくなっているということだ。2010/03/12
熱東風(あちこち)
2
これは「福沢諭吉伝」というよりは、エッセイと呼ぶ方がむしろ相応しい。確かに福沢の生涯を追っているのだが、筆者の福沢に対する思い入れが強すぎて、伝記・評伝と呼ぶに躊躇わせるものがある。福沢に敵対的な者は勝海舟だろうが榎本武明であろうが全て「悪者」扱い。まぁエッセイとして見るならそれはそれで構わないんですけどね…。2016/09/14
なつ
2
★★★☆☆2010/03/12