内容説明
地吹雪の夜道で、若い男女が乗った車が大木に衝突した。男は即死らしい。“私”は女を助け出し、最寄りの雪泊温泉に避難するが、奇妙な客や座敷牢を目にして正気を失ってゆく(「ゆきどまり」)。連続刊行の2巻は「優れた怪談の底辺には、愛がある」という著者の信念が凝縮した、哀しくも背筋の凍る恐怖小説23編。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ntahima
23
数カ月前に自選短編集ミステリ編を読んだ。氏のミステリは謎解き命ではなく、謎を追求する過程に重きが置かれている為、殆ど既読にも拘わらず楽しめた。さて本作、ホラー、怪談などの怪奇幻想系は結末より雰囲気を楽しむものなので、ミステリ編以上に期待し、就寝前に一編ずつ読む。読後感は微妙。初読時にはかなり面白く読んだ記憶があるのだが、まとめて読むとどうも物足りない。感受性が落ちてきたのだろうか?『怪奇小説傑作集』(創元推理文庫)が読書の原点の私としては非常に困る。評判の『あやし うらめし あな かなし』でリハビリ予定。2012/10/25
麦踏
8
『ゆきどまり』を久々に読み返したくて借りてみた。現実のようでいて、「少しずつ何かがズレている」奇妙な出来事の連続。自分が狂っていくのを別の自分がジッと見ているようなゾクリとする感触。そして、艶っぽさも記憶に強く残っていた。「乳首をつたって落ちた汗がぼくの口に入る。これはぼくが作った汗だ。」ここ、物凄く好き(笑)。40ページの短編だけれど、ホラーとしてとても良く出来ている。辻褄が合わないって最大の恐怖だ。これが読みたかっただけなので、他の22編については書かないけど、高橋克彦の知識の深さに脱帽。2016/03/17
みぃすけ
7
さすがホラーの名手、読み応えのある短編集でした。ただ作家が主人公の話が多かったので、後でいろんな話がごちゃ混ぜになってしまいそうです(笑)2015/10/25
ケロたん
4
ほとんど過去に読んだはずだけど覚えていない。でも、さすがです。記憶シリーズは絶品!! また、楽しめました。2014/09/06
レイ
4
著者のホラー短編が大好きな私には何よりのご馳走であった。堪能しすぎてお腹一杯である。別の短編集で既読のものも幾つかあったが、以前より何故か怖く感じた。一編一編につけられている、道又力氏による解説も著者の生い立ちや心理に触れていて、より作品を味わうためのスパイスになった。子ども向けに書かれた「桜の挨拶」のような優しい作品もあれば、理屈が通じない邪悪なものへの恐怖を描いた「鏡台」、「記憶の窓」など多彩。やはり面白い!2012/02/23