内容説明
俳句初心者にも分かりやすい理論書として、俳句とはどんなものか、俳人にはどんな人がいるのか、俳句はどのようにして生まれたのか等の基本的な問題を、懇切丁寧に詳述。『俳句の作りよう』の姉妹編。
目次
第1章 総論(俳句は十七字の文学であります 俳句とは芭蕉によって作り上げられた文学であります 俳句とは主として景色を叙する文学であります 俳句には必ず季のものを詠みこみます 俳句には多くの場合切字を必要とします)
第2章 季題(時候の変化によって起こる現象を俳句にては季のものまたは季題と呼びます 俳句を作るには写生を最も必要なる方法とします 季重なりは俳句において重大な問題ではありません 俳句の文法といって特別の文法は存在いたしません)
第3章 切字(俳句の切字というものは意味かつ調子の段階となすものであります 「や」「かな」は特別の働きを有する切字であります)
第4章 俳諧略史(俳句とは芭蕉によって縄張りせられ、芭蕉、蕪村、子規によって耕耘せられたところの我文芸の一領土であります)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちくわ
11
俳句が詠みたくなる(笑)。超初心者向けの本を探す内に、高浜虚子の2冊が目に留まり読んでみる。ハイハイしか出来ない自分にも、俳句の何たるかが理解出来そうだった。十七音という雁字搦めの規制に加え、季語が必須である罰ゲームの如き詩形だが、そんな御託はさて置く。俳句を詠む=絵葉書を描くイメージを抱いたので、肩肘張らぬプチ写生=ド素人俳句を詠んでみる。詠んで寝かす。寝かしてまた思い浮かべて修正。その繰り返しが少し楽しくなってきた。読了後、バブーな自分がハーイ!チャーン!を発せた気がした。次はタラちゃんを目指そう。2024/08/13
瓜坊
10
vs虚子という出発点から現代俳句は始まったと聞いたことがある。虚子という巨人に認められるか、または拒絶し超えるかに俳人たちは苦心するのだと。子規という教祖からの考えを平易に説く、ペトロのような虚子のこの本は、聖書のように別に信じるつもりはなくても、面白いと感じる。いや俳句に無知な迷える子羊の私は、むしろハマったといっていい。最後に俳句史をまとめるが、芭蕉から子規に至るまで、虚子は「黒く塗り潰し」語る必要がない部分を示唆する。まさに聖書の都合良さのようで、解りやすくても、少し掘り起こした解釈もできそうだ。2016/11/28
Marie
4
俳句の入門書として、非常に簡潔に丁寧に分かりやすく書かれており、版元在庫僅少とお聞きしましたが、強くお勧めしたい本です。同じシリーズで「俳句の作りよう」「俳句はかく解しかく味わう」があります。セット買いしました。名句の歴史と背景、解説は栄養となって更なる佳句に繋がるものと確信します。2021/11/27
qwer0987
4
高浜虚子は文章が読みやすくて好きだ。俳句を始めて間もない人に、丁寧な解説をほどこしてくれて、わかりやすい一冊だった。2016/02/09
シロクマぽよんぽ
3
国語教師必携。俳句とは何か、季語や切れ字とは何か、大まかな俳諧史とはどんなものか。今読んでも充分説得力がある。これに付け加える形で昭和以降の俳句の流れを押さえていけば、一通りの俳諧俳句史は見通せると思う。2021/06/09