内容説明
ウルトラマンより大きな仏像が、日本各地に存在している! その唐突かつマヌケな景色を味わうための日本風景論。東南アジア旅行の達人として知られる著者による笑える紀行エッセイ。
目次
牛久大仏・茨城
淡路島世界平和大観音・兵庫
北海道大観音・北海道
加賀大観音・石川
高崎白衣大観音・群馬
九州巨大仏旅行・長崎・福岡(長崎西海七つ釜聖観音・久留米救世慈母大観音・篠栗南蔵院釈迦涅槃像)
会津慈母大観音・福島
東京湾観音・千葉
釜石大観音・岩手
親鸞聖人大立像・新潟
仙台大観音・宮城
太陽の塔・大阪
最後の巨大仏めぐり・静岡・香川
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
88
必要性や有用性という概念を激しく逸脱しつつ、そのものは何気なく存在するものは、意外に多い。関東だと大船観音しかり、関西では万博公園の太陽の塔しかり。そういったジャンルの中でも、全国の巨大仏だけにターゲットを絞り、300ページの最後まで面白く書けるのだから、やはり宮田さんはすごい。大仏巡りも、趣味の1つに加えようかと思わせる1冊。2015/12/08
rico
51
著者が愛してやまない「ぬっと」感、私も経験があります。ぼーっと車窓の風景を眺めてたら、街並みの向こうに突然現れた異様なモノ、「なんじゃこりゃ!?」と思わず目をゴシゴシ。本書でも取り上げられた某巨大仏でした。巨大仏の何とも言えない残念感、特定の時期に集中して作られているなど、マジメに考察すべきことはたくさんあると思いますが、ま、著者のいう「マヌ景」を愛でてればいいのかもしれません。あれこれ滅入るような話が多い中、なーんも考えたくなくてGWにダラダラと読みました。2019/05/06
saga
41
訳あって休暇を取り、半分ほど読み進めていた本書を読了。巨大仏のうち、関東に住む自分は牛久、東京湾、高崎に20数年前に近くまで行ったことがあり、著者の独特の視点を持ち合わせていたらマヌ景を味わえたのに、と悔やまれた。後半では、著者の巨大仏に対する思いと坂口安吾らの著作から得られる考察に、こんなに深いところで本書は上梓されたのだと感心させられた。解説では、著者が1作品を著すに当たり緻密な構想を練っていると書かれており、紀行文をアホな文章で綴るだけの人ではなかったのだと、ますます好きになった。2014/04/17
はちてん
38
なんだろう、このナンセンス感。巨大なだけに虚ろも大きいのではないか。にしても日本各地にけっこうな数存在することに驚いた。正直に言って、このつまらない建造物に対して、著者がみせるルポの筆力に唸る。実際行くよりおもしろいに違いない(笑)2016/04/27
ゐづる
37
以前仙台大観音がよく見える場所に住んでいたので、巨大仏に興味が湧き、本書を手に取りました。ちなみに宮城県は船岡にも観音が存在するなど、大観音多発地帯であり、巨大仏に寛容な土地柄でした。大観音以外でも、意味不明な巨大立像は日本各地に点在していて、それらがどういう動機で建立されたかは、推測するしかありませんが、大概は“降りてきた”というのが多そうですね。貧乏人の我々からしたら、もっと別のことに使えよ!と突っ込むところですが、降りてきてしまったら、作るしかないんでしょう。2015/08/23