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内容説明
戦後の日本社会で人々は、会社や家族という「共同体」を築き、生活の基盤としてきた。だが、そうした「関係性」のあり方を可能にした経済成長の時代が終わるとともに、個人の社会的孤立は深刻化している。都市、グローバル化、社会保障、地域再生、ケアなどの観点から、新たな「つながり」の形を掘り下げる試みである。
目次
コミュニティへの問い
第1部 視座(都市・城壁・市民―都市とコミュニティ コミュニティの中心―空間とコミュニティ ローカルからの出発―グローバル化とコミュニティ)
第2部 社会システム(都市計画と福祉国家―土地/公共性とコミュニティ ストックをめぐる社会保障―資本主義/社会主義とコミュニティ)
第3部 原理(ケアとしての科学―科学とコミュニティ 独我論を超えて)
地球倫理の可能性―コミュニティと現代
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
12
・「超越者」原理……キリスト教の場合・「宇宙」原理……仏教の場合・「人間」原理……儒教の場合とも呼ぶべき性格の価値原理/戦後の日本社会は文字通り〝価値原理の空白〟に置かれることになった。その結果、戦後の日本人にとって事実上〝信仰〟とも呼べるような絶対的価値になったのは、他でもなく「経済成長」という目標/三部に入ってなんか違う本を読んでいるようでした。2017/01/23
Hirohito
9
社会だけでなく、経済、文化、科学、哲学といた多様な観点からコミュニティについて考察している。特に気になったのは最後の章。紀元前5世紀前後に、ギリシャ哲学、仏教、旧約の思想、中国の諸子百家の思想が同時多発的に生まれている。これらは呪術的・神話的ではなく普遍的なものを志向しているという共通点がある。騎馬民族の移動が契機という説もあるが、農耕文明の成熟化・定常化により人類の関心が生産の拡大から文化の深化に向かったという説を紹介し、現在も産業革命以降、同系の時代状況におかれているのではないかと指摘する。なるほろ2013/12/27
nishi
8
コミュニティ(農村型と都市型)を軸に、現在の定常型社会における社会保障政策の在り方について記されている。10年前の本ではあるが、前提となっている条件には変わりなく、むしろSDGsや人的資本の流れなどは本書に書かれている通りになったといっても過言ではないと思う。資本主義を前提としながらその問題点を社会保障で埋めるという方向性にはとても共感する。(脱成長コミュニズムとも問題の出発点は同じようなところにあると思うが、そのとらえ方と政策の方向性、実現可能性度合いでいうと断然本書のほうが優れていると感じる。)2021/09/05
_udoppi_
6
てっきり地域社会論かと思いきや、コミュニティに関わる非常に学際的な議論が展開されている。特に5章の議論が素晴らしいと思った。第三部(6章以降)は、「頭がいい人がどのように世界を把握しているか」が明示的に筋道を立てて表現されている点で新書として最高だと思う。マクロヒストリカルな視点から個別的な議論を位置付けたり、哲学的な必然性の中に具体的な政策を意味付けたりというような展開の仕方は、とてもかっこいいし説得力がある。2011/11/30
onaka
6
福祉政策と都市政策を総合的な視野で捉え、経済格差と空間格差を同時に解消させること。そのキーワードとしてコミュニティの再構築がある。例えば、公有地をコミュニティ中心として再設計し、世代間交流・環境保全・福祉・医療・生涯学習等の活動場所とする。コミュニティを存立させるため「普遍的な価値原理」が必要という議論が最終章でなされるが、コミュニケーション形態や世の価値観が大きく変わりつつある今、必要なのは机上の空論ではなく、それを生成させるための実践的な試行なんでしょうねぇ。2010/09/16
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